冨田秀雄の設計日記

家づくりへの想い、考え、そして私的な内容を綴ったブログです。
さようなら歌舞伎座(3)
劇場内部に入ります。
設計した吉田五十八は、歌舞伎座の設計修築にあたり、「劇場ならば、その豪華さによって、芝居が一段と美しく見えるように設計するのが本来であって、逆に芝居が劇場に喰われてしまう小屋は邪道であろう。そういった意味合いから出発して、今度の歌舞伎座は、内部意匠は出来うる限りその手法の種類を最小限度に止め、同じ手法を多少変化させては各所に使い、意匠の混乱によって生じる舞台効果の減殺を防ぐように苦心した」と述べています。



又「それと同時に、日本的ディテールをなるべく目に立たないよう、邪魔にならないよう単純化して、劇場全体から来る雰囲気によって日本的な香りを高め、歌舞伎らしい柔らかい空気の内に芝居を進めていく、といった考えのもとに練ったつもりである。要するに細部よりも雰囲気をねらいとして設計を進めたわけである。」



また吉田五十八は芝居小屋にはうるさく、「料理屋は芸者がきれいに見えなきゃいけない。芝居もそうです。女の人は芝居を見に来るのが50%、あとは自分を見せに行く。ひなだんとか土間、うずらは自分を見せに行くのです。やっぱり芝居はプラス観客なんです。廊下をお客が右往左往してきれいに見える。こっちはこのことを勘定にいれて設計しているんですよ」
晶文社建築家吉田五十八より







劇場と舞台が一つにまとまり、演じる人も見て楽しむ人もひとつになれるような空間です。観客からの掛け声も適度に響き、皆がわいわい楽しめる雰囲気があります。天井の照明が組み込まれた竿縁が全体を覆い、舞台まで視線がつながります。

席や桟敷で、食事を取られている人も多く、庶民的な部分も多く残した劇場だと感じました。

これは、やっぱり歌舞伎の劇場であり、この雰囲気を次の新しい歌舞伎座にも是非伝承してもらいたいと思います。
| 建築・設計について | 14:35 | comments(0) | -
さようなら歌舞伎座(2)


歌舞伎座の中へと入ります。
何段かの階段を登り、正面玄関を入ると小さな吹抜けホールがあります。
この吹抜け空間が、メインの場となり、そこから劇場ホールへと導かれます。






赤く塗られた柱と格子天井の照明がまず目に留まり、その吹抜け空間を過ぎるといきなり劇場ホール入口です。
引きが少ないのと、段差が多いので、ちょっと窮屈な感じです。


2階の劇場ホールへの入口です。

ホールの廻りにはお土産さんや、屋台が所狭しと並んでいます。でも通路巾がどうしても狭く、人でごったがえしていました。
歌舞伎は、休憩時間もしっかり取れるので、買い物や飲食もひとつの楽しみであります。通路にはベンチもいくつかあって、そこでお弁当を食べている人も多いのですが、何かそっけなく面白みがありません。
劇場ホールがなにより一番大切ですが、このホワイエは今の時代にはやはり狭く、空間的拡がりも感じられず物足りません。
| 建築・設計について | 12:51 | comments(0) | -
さようなら歌舞伎座(1)
この4月講演を最後に建替えられる東京の歌舞伎座に行ってきました。
幾度かの火災や震災に見舞われ、3期目で岡田信一郎が設計したRC造和風建築も先の大戦の空爆で多大な損傷を受け、それを吉田五十八が修築したのが今の歌舞伎座です。正面のファサードデザインは、当時RC造で和風をいかに表現するのか本当に検討しつくしたデザインでしょうし、やはり歴史と重みを感じる事ができます。




建物の横に廻りますと、その屋根の複雑な重なり合いが見れてこれまた迫力があります。







壊された後は、後方に高層ビルを抱えるガラス面の多い建物になるようです。
確かに内部は舞台・客席はまあ良しとして、ホワイヱや通路がかなり狭く、耐震的にも改修の必要はあると思いますが、なんとかこのファサードだけでも残せなかったのでしょうか。技術的には勿論可能ですし、中央郵便局よりも一般庶民に与える建築の凄みそして、歴史的デザインの継承はあるでしょう。
銀座のこの辺りもほとんど建替えられて、私の好きでした白井晟一設計の親和銀行も既にありません。
街は、古い建物、その時代時代を表す建物が所々に残っているからこそ、歩くのも楽しいし、愛着も湧きます。これからの時代は、改修の時代なわけですから、その先駆になる良いチャンスだったかもしれません。残念です。
| 建築・設計について | 14:58 | comments(0) | -
銀座ヤマハビル
銀座通りに完成したヤマハのビルです。
前の建物は、レーモンドの設計で内部にホールがあり、戦後近代建築のホールとして画期的な建物でしたが、時代と耐震の関係から建替えられました。







ガラスがうろこ状に見え、ワイヤーで繋がっています。
多くの商業ビルが立ち並ぶ銀座中央通りですが、目立つと言う意味では、なかなかのもんです。
表層のデザインは、余りにも早い流行に流され、何だかこちらのハートには響いてきませんが、どうでしょうか?
今度は、じっくり内部も探検してきたいと思います。
| 建築・設計について | 21:11 | comments(0) | -
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