冨田秀雄の設計日記

家づくりへの想い、考え、そして私的な内容を綴ったブログです。
谷口吉生 京都国立博物館 障子をイメージするファサード
日本建築の丹精さ、モデュールに込められる統一感、縦横のバランス、水平垂直の作り出すリズム等々日本建築の美しいところを言い出せばきりがありませんが、この京都国立博物館のファサードは、障子をイメージさせるまさに日本らしい建築。

研ぎ澄まされたディテールに裏付けされたプロポーション抜群の洗練されたガラスカーテンウォール
水盤に跳ね出した黒い石の床は桂離宮の月見台を連想させます。






この静寂さはどうでしょう。大きくはね出したフラットな庇とそれを支える細い柱。抜群のプロポーションで迫ってきます。


水盤に石の床が出ているところは、ガラスが透明で内部から庭が見えます。




時間を忘れて庭を見るのも良いです


外部と内部展示室との間に設けられたバッファーゾーンですが、この中間領域的空間もまた日本建築の持つ特徴の一つです。
| 建築・設計について | 10:09 | comments(0) | -
谷口吉生 京都国立博物館平成知新館 空気が変わり気が引き締まるエントランスゲート
京都国立博物館平成知新館に行きました。道路の反対側には三十三間堂。歴史ある街並みの中に視界が開け、ゲートが現れます。

垂直水平の世界。
ゲートの先には平成知新館が見えます。非常にパースペクティブな構成
無駄な装飾は一切ない、切り詰めたデザインとそれを可能にする研ぎ澄まされたディテール。まさに谷口さんの世界です。
ここで、空気感が変わるのが解ります。




垂直の壁と水平な屋根。ミースファンデルローエのバルセロナパビリオンを彷彿させる構成


水盤は黒。底が見えない垂直方向の無限の拡がりを感じさせます。




気持ちの良いアプローチ。これだけの引き空間がある建物は現代建築ではほとんどお目にかかりません。


右手には明治古都館
| 建築・設計について | 11:28 | comments(0) | -
地下鉄心斎橋駅 阪急ターミナルコンコースアーケード
昔小さい時に行った心斎橋の御堂筋線地下鉄駅や、阪急コンコースにあった豪華なアーケードは、今も記憶の片隅に残っています。子供の心にも残る記憶。それが残るほどにこの駅のプラットフォームやコンコースは力を持っていたのだと思います。御堂筋線心斎橋駅は今も現役。1933年開通した御堂筋線は関東大震災からの教訓でより安全である地下鉄化され、水の都大阪の川の下を通る深度の大きな地下鉄となりました。その深さを利用して各駅の天井はボールト天井となり、今に至ります。照明器具も蛍光灯を上手くデザインしてシャンデリアのような印象をもつものとなっています。










一方阪急電鉄のコンコースは新しい阪急デパートになった際、取り壊されました。ただ、そのデザインはデパート最上階のレストラン天井に生かされ、今もその空間は味わえます。









ただ、やはりこのデザインは当時の人で賑わうコンコースの為にデザインされたものであり、照明ももっと落ち着いた照度であったと思います。人が移動するなかでこの空間で出くわす感動はもうここにはありません。当時の阪急の力と本物を求め、それを作り出した人達のエネルギーはやはり相当なものであったんだと思います。


新しいデパートには大きな吹抜け広場みたいなものも造られていましたが、あまり感動のないものでした。
| 建築・設計について | 08:44 | comments(0) | -
もしも建築が話せたら ルイスカーン ソーク研究所 静かに語る建築
渋谷のアップリンクで上映中のオムニバス・ドキュメンタリー「もしも建物が話せたら」を見ました。ヴェンダース、レッドフォードを含む6人の監督がそれぞれに想いを抱く建築に焦点をあて、その建物ができた背景、建築家の想い、街に対する影響と反響、そこで働き、住む人達のあり様等深い視点から見詰め結集した映像と音楽です。建築は単なる物ではなく、人の心を動かすエネルギーであり、いろいろな人のその時の感情、想いを蓄積しているものでもあります。そんな事を改めて認識できる映画でした。
取り上げられた建築は、ベルリンフィルハーモニーコンサートホール・ロシア国立図書館・ハンデン刑務所・ソーク研究所・オスロオペラハウス・ポンピドーセンターの6建物。そのどれもが素晴らしい生きる建築です。
この中で、ソーク研究所、ポンピドーセンターは行ったことがありますが、ベルリンフィルはまだ。ベルリンフィルの映画では、その建築的空間、観客と演奏者が一体となったホール、美しい有機的な階段で構成されるホワイエ等臨場感のある映像であたかもそこに身を置いたような気分になり感動しました。是非行ってみたい建築の一つです。







ソーク研究者の映画ではソーク博士と建築家ルイスカーンとのやりとり、カーンの建築に対する肉声を聞くことができ、改めてソーク研究所のすばらしさを実感できました。本当に静かな建築です。自然の光や風を浴び、研究者達が自らの研究に没頭できる空間。建物が環境を作る。その好例です。






















| 建築・設計について | 09:22 | comments(0) | -
村野藤吾 ドウトン 全面タイルによるファサード建築
道頓堀川と言えば、阪神タイガースが優勝した時にファンが飛び込む川ですが、なんせ、大阪南繁華街の中心を流れている川なので、街のシンボルみたいなものです。昔に比べますと川の両岸が綺麗に整備されて人が歩きやすくなり、水の都大阪を彷彿させる場にもなっています。遊覧船もあり、結構たのしめる場所になりました。



川の両岸には食べ物屋さんがびっしり


その道頓堀川に面してあるのが村野さん設計のドウトンです。




全ての階に飲食が入るビルで、道頓堀川に向かって解放された窓が並びます。


通り側に出ますと上の階は全て窓の無い壁。
そこにタイルによる絵が描かれています。
巨大なキャンパス


こちらには全く開口部がないので、他の建物のぐちゃぐちゃ感から少し目線をあげることで、違った世界が見えてきます。普通はこちら側も開口部を設けたいと単純に思うところですが、違うんですね。
タイルの補修か安全策か、ネットが貼られていたので、残念ながら全体は見れませんでしたが、この発想は凄いなと思います。


1階廻りはこのように、ハイテンションの装飾看板で埋め尽くされておりますが。
| 建築・設計について | 09:12 | comments(0) | -
村野藤吾 浪花組本社ビル 複雑で絵画的なファサード
もう一つ心斎橋にある村野さん設計の面白い建物があります。これも雑多な繁華街に面する建築なんですが、廻りの建物に比べても遜色ない奇抜なデザイン。でもこれほどいろいろな事をファサードで試みても、違和感が全くない街自体のパワーがあるんですね。

看板で埋め尽くされた街に現れる看板では無い本物の建築。遠くから見つけてもなんじゃこれはと思うほどインパクトがあります。


でっぱりや引っ込みがあり、いろいろな素材が使われています。ここは左官業の大手浪花組の本社ビル。左官屋さんは、いまでこそその作業量が建築工事の中でしめる割合が少なくなりましたが、昔は現場の主みたいな業で、職長さんは現場全体をまとめる世話役みたいな人が沢山おられました。工事の最初から仕上げまで左官業は必要な職種だったわけですから。
ということで、やはり左官職人さんの腕を存分に生かした建築を目指したのではないでしょうか。
でっぱりのある8角形の正面には瓦と漆喰を用いたなまこ壁風の仕上がり。鳥のくちばしのような6角形の部分は人造石によるレリーフ。開口部も凝っています。







それにしても多くの技術を要しています。


玄関廻りのアーチの門、スチールによる繊細な装飾




好きやねん大阪の石碑までありました。
2度と作れない、一品生産品の建築。まだまだその力は衰えておりません。
| 建築・設計について | 08:53 | comments(0) | -
村野藤吾 大成閣 アルミ成形材の有機的なファサード
大阪心斎橋から入った通りは、大阪南の大繁華街であり飲食、飲み屋さんが連なる賑やかな場所で、看板が所せましと立ち並び、自己主張する店舗がひしめいているところです。ここに村野さん設計の中華料理店大成閣があります。

多くの看板や雑多な建築で埋め尽くされた大阪南の通り


そこにアルミ成形版をもつファサードが現れます。


看板建築に見劣りしない、独特の造形


何だか街に溶け込んでおると言うか、違和感がありません。


バルコニーの表層に付く、アルミの装飾とでも言うのでしょうか


6角形のフレームとパネルが縦ラインの柱の間に並ぶデザイン。
よくよく見ますと単純な繰り返しながら、面白い独特のデザインとなっています。
| 建築・設計について | 08:56 | comments(0) | -
大阪御堂筋の宝 大丸心斎橋店本館 ヴォーリズの代表作
昨年末で一旦営業を休業し、解体・新築工事を行う大丸心斎橋店本館を見てきました。時期が遅く残念ながら内部はもう見れませんでしたが、この記念すべき建築を一目見ておかないとと思ったわけです。外壁は保存され、内部も出来る限り残すと発表されたので良かったのですが、内部空間のすばらしさをどこまで再現保存できるかは、これからの日本建築技術陣の腕の見せどころかと思います。歌舞伎座は、エントランスや外観はほとんど前のデザインで再構築されてますが、新築。今回は東京郵便局のように外壁を残して新しいたてものと合体させるわけですので、インテリアが一時解体保存してまた元のようなデザインの中に戻すのかどうか。
物には全て人の魂と言いますか、作り手の想いもさることながら、その時代、その時代に訪れた人々の想いが刷り込まれてします。ですから、できる限り忠実に今使われているインテリアを再利用して頂きたいと思います。







丁度光が射しまして塔屋の部分が光り輝きました。










御堂筋側正面玄関










見れば見る程、この建築は大阪の宝です。
| 建築・設計について | 09:38 | comments(0) | -
マーチエキュート神田万世橋 トコトントダ 設計文化祭
今日まで行われていた戸田建設設計部による設計文化祭トコトントダ展をマーチエキキュート神田万世橋イベントスペースで見てきました。
日本のゼネコン設計部の実力は皆たいしたもんだと思います。強味はやはり総合力でしょう。いくつかのプロジェクトを担当する人達はそれぞれが総力を挙げて設計するわけで、設計に対する皆のぺクトルが合えば、想像以上の力となって現れます。意匠、構造、設備、技術が束になって協力すれば、難問も何とか解決していきますし、良いものができる。戸田建設の設計部の設計者の一人一人がトコトンやる気構えをこの文化祭で見ることができました。





パネル写真や模型、CGなど、解りやすい展示でした。





設計者全員のトコトンが貼られたパネルもエネルギーを感じました。

| 建築・設計について | 20:19 | comments(0) | -
永田祐三 長瀬産業大阪本社ビル 石やスチールの繊細なディテール
長瀬産業旧館のデザイン要素を現代風にアレンジしながらも全体として統一感を持たせる。要素を細分化してひとつひとつを現代風に作り直すという設計は大変ではありますが、やりがいのある仕事でもあります。街のヒューマンレベルに対しては縦長の開口部が用いられています。本館外観は大きな壁で造られた重厚感ある建物なんですが、シャープさが感じられます。そこには隠されたきめ細やかなディテールが存在しました。

旧館のエントランス廻り。ドーンとした重厚感のある建物


本館の開口部。旧館の低層部を咀嚼したデザインです。大きなタイル壁面に開けられた縦長開口部。




よく見ますと、開口部の水切りの石のディテールが丸みを持たせ、水処理という技術的問題も処理しながら非常に美しくまとめてあります。またスチールの格子デザインは極めて繊細なデザイン。機能を十分踏まえての優れた設計です。

窓の石枠が地面と接する部分でも柱は中央が少しへこんだデザインで単調性を無くし影を生み、ボリューム感を出しています。壁はしっかり大地に着き、開口部は開口部としてデザインする。開口部下の地面と接する部分は少し浮いていてここでも地面と建物の間に影ができるようなディテール。力がこもったデザインです。。


石のアーチの枠取りも実に綺麗です。



永田さんは竹中独立後、和歌山のホテル川久など、職人の手の痕跡がにじみ出るような建築をいくつも設計されてますが、長瀬産業本社ビルもそんな設計者の想いや好みが今でも残る秀作だと感じました。
| 建築・設計について | 07:58 | comments(0) | -
街並みをつくる長瀬産業大阪本社ビル
大阪四ツ橋筋に面して1928年完成の長瀬産業大阪本店。スクラッチタイルの落ち着いたコンクリート建築でその存在感は今でも十分感じられます。、設計は設楽貞雄。
3階までのアーチ開口部、エントランス上のバルコニーやそれを支える装飾された梁、玄関廻りの石の門型、照明器具等々見るべき要素満載の建物です。その隣の10階建ては1982年竣工で当時竹中工務店にいた永田祐三氏の設計。
当時の長瀬社長の建物に対する愛着は深く、旧館を残しながらその旧館との連続性を大切にされていました。永田さんはその静かで落ち着いた佇まいを求めた意志を汲み取り、見事な建築に仕上げています。
街に対して同じテクスチャーの大きな建築が並ぶことで、ここだけ空気が変わります。古い建物のデザイン要素を現代風に読み取り、咀嚼しながら設計する。これは全く新しい斬新な建物を作るよりも深い読みと設計力が問われる難しい仕事だと思います。



本館は圧倒的に壁の面積が多く開口部が少ない。それだけにどっしりと落ち着いた教会のようなイメージがあります。


旧館と本館との接合部



| 建築・設計について | 10:18 | comments(0) | -
ガエターノペッシェ オーガニックビルディング 大阪船場のランドマーク 煌びやかなエントランスホール
このオーガニックビルディングは昆布メーカーの老舗小倉屋山本が施主で、創業の地である大阪中央区南船場で後々の時代においても評価される建物を作りたいという当時社長の強い想いから始まったプロジェクトです。大阪市内に世界にたった一つしかないランドマークを創る。そこから始まるプロジェクトは多くのコンセプターや企画会社を介してイタリア人建築家ガエターノペッシェと結びつき、このデザインが発表されました。当時ベネチア大学の教授であったペッシェは、周りのインテリジェントビルの冷たさに対する有機的なビルの温かさをテーマとし、曲線でできた有機的な縦の庭にたどり着いたそうです。この建築は表層だけの建築ではなく、施主をはじめこのプロジェクトに携わった多くの人たちの想いが重なっていて、今でも十分その迫力を保ち続けています。



駐車場以外の敷地内には平面的な植栽も


そして驚かされるのがエントランスホール




テナントとの表記も見ていて楽しくなります。
| 建築・設計について | 11:01 | comments(0) | -
ガエターノ・ペッシェ オーガニックビルディング 132のポット(植木鉢)がある赤いビル
1993年完成のこのオーガニックビルディング。大阪の南船場の街を歩いていますと、突然姿を現します。今でもその形・デザインは時代をまったく感じさせない強烈なインパクトを持って迫ってきます。赤いパネルに取り付いた形状の異なるポット。そこに世界からの植栽が施され、自動制御による給水システムで木々が外壁に見え隠れします。当時建築家エミリオアンバースが、植木鉢を垂直にフレーム化した架台に載せる案を世界に向けて提案していましたが実現化はされませんでした。その時代にこの建築はできたわけで、外部に植栽をもたらすというアイデアの先駆者と言えます。今現在では外壁に植栽を施し、省エネルギー効果を狙うものがあちこちでみられますが、これほど迫力があるものはやはり無いですね。街のランドマークになっています。



強烈なデザインですが、植栽ということで何だかユーモアもありますし、可愛らしい感じがしてきます。


赤いパネルはやはりイタリア人設計者ガエターノ・ペッシェのなせる業。




大阪という場所の持つ特性もこの建物が実現した理由の一つだと思います。
廻りには緑は殆ど無い場所。



| 建築・設計について | 09:46 | comments(0) | -
大阪御堂筋ビル・大阪センタービル 御堂筋に落ち着きをもたらすアルキャストの外壁 
大阪御堂筋は今訪れても、その広さ、街路樹の見事さが際立つ素晴らしい通りなんですが、この関西の中心道路に沿って計画される建築も皆力が入る建物ばかりでした。この大阪御堂筋ビル・大阪センタービルもその一つ。電解発色の技法を用いて、落ち着いたダークブラウンの金属色に仕上げられたアルキャストのパネル、ブラウンの熱線反射ガラスが外壁を覆います。H型の配置で2つの棟を繋ぐ部分が階段やエレベーター、水廻りのコア部分。そこはアルキャストの壁になっています。昭和44年(1969年)竣工ですから今から50年近く前にできたビルです。その落ち着いた大人のデザインは今でも十分新しさを感じます。最近の白い軽快なビルよりもずっと品格が漂う秀作だと思います。設計は竹中工務店。







御堂筋から玄関までの長く広いアプローチがこの建物の格を上げているように思います。


御堂筋に面してアートスペースもありました。これは大阪市が御堂筋を芸術・文化軸として世界に誇る彫刻ストリートとして設けたもので、御堂筋沿いの企業からの寄贈と言う形で現在29の彫刻が街区ごとに並んでいます。


イギリスの巨匠ヘンリー・ムーアの「二つに分断された人体」

御堂筋を介して反対側にある又一ビル

このビルは、昭和60年竣工のビルですが、昔から御堂筋に面してあった旧大谷仏教会館の外壁の一部を残し、その上階にガラスカーテンウォールの事務所ビルを新築したものです。今では東京中央郵便局をはじめ昔の建物のファサードを残しながら新しいビルを建てる手法は珍しくありませんが、今から30年前にはすでにこの手法を用いた建築を作っていました。設計は竹中工務店。


これも御堂筋に面する御堂筋ダイビル
ステンレスパネルの中に縁が丸い直方体の開口部が並ぶデザインで、やはり迫力があります。
| 建築・設計について | 09:58 | comments(0) | -
渡辺節 綿業会館 今に残る文化遺産
関西を中心に設計活動を行った渡辺節の設計であり綿業会館。村野さんが当時渡辺事務所にいてこの建物のチーフデザイナーでありました。見るからに格式があり重厚感もある建築です。昭和6年(1931年)完成。平成15年に国の重要文化財









隣に建てられた新館は1963年の完成で同じく渡辺節の設計です。上階にある設備棟が迫力あります。


上の階は道路斜線でセットバックしていますが、屋上の装飾された設備棟はドーンとその形態を主張しています。




本館とのジョイント部




同じ色調質感のタイルを用いながらこちらは横連窓のモダン建築
| 建築・設計について | 11:04 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 動きのある曲線美を持つ階段
色鮮やかなガラスモザイクタイルのエントランスホールは、他ではないこの建物独自の芸術ですが、そのガラスモザイクの壁に負けない造形がこの階段ではないでしょうか。もうこれは村野さんしかできない階段だと思います。滑らかなカーブを描きながら流れる手すりが付き、まるで生き物のように軽快な動きがあります。階段は見上げた時のデザインが大切だと教わりましたが、この階段は見上げたところもよく考えて造られていて、信じがたいレベルの職人技も見られます。黒い段の縁取りと白い天井面が実にうまく取り合っています。直線階段ならともかく、これだけ複雑に曲がっているのに綺麗な納まり。うならせます。

1階のホールから降りてくるところ。ガラスモザイクの貼られた曲面壁と寄り添うようなカーブを持つ階段


地下1階の階段ホールです。


階段は更に下へと伸びていきます。ガラスモザイクタイルの壁は1階から地下へと続いており、その壁を分断することなく階段は浮いたような状態で、設置されています。意匠だけではなく構造もかなり試行錯誤を重ねたものだと思います。
生き物のような有機的な動きを感じる階段です。


一番下の段は床から浮いています。
軽快感を感じるのはこんなところのデザインの積み重ねなんです。


階段本体に付く手すりも軽快そのもの。


人の手に触れるところは、無垢の木ですが、どうしたらこのように曲がるように作れるのでしょうか。無垢を削りながら大工さんが合わせていったのでしょう。


ステンレスの手摺子と木手すり。木は曲がりませんから、この造作を大工さんの技量も素晴らしいものです。簡単そうに見えて、実は普通はできない技がここそこに見え隠れしています。


綺麗な階段の見上げ


壁と階段が離れているので、どちらも生きています。見れば見る程感心する階段でした。
| 建築・設計について | 08:17 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 ガラスモザイクタイルが貼られたエントランスホール
さて、もう一つのオフィス側エントランスへと廻りましょう。

こちらは、庇も無く、ストレートに入る玄関となっています。特に特徴もない普通のモダン建築の玄関。
ところが、扉を開けますと、びっくりするような煌びやかな空間が待っていました。

エントランスホールに貼られたのはガラスモザイクタイル。このデザインを手掛けたのは地下のタペストリーと同様堂本印象によるものです。


吹抜けの壁一杯に描かれた文様がエレベーターホールの対面壁にまで続いていきます。
玄関から入ってきた人は勿論驚かされますが、上階から1階に降りてきた人達がエレベーターの扉が開いた瞬間に目にするのがこの色鮮やかな壁というわけです。ここにきて気分が変わるというしつらえです。

エレベーター側の壁は装飾のない壁。これは今からエレベーターに載って上の階に行き、ビジネスをするわけですから、ここではクールな壁とすることで、気持ちを切り替えるという意味があるかと思いました。


エントランス側を振り返りますとこんな感じ。
光が内部にまで良く入るように、玄関ドアの上部にも横長窓が設けられ、そこからの光がタイルを照らします。



ガラスモザイクの壁で彩られたエントランスホールにはもう一つ見せ場があります。それが地下へと降りる階段。写真の左手がそれです。


ガラスモザイクの壁は地下へと伸びていきます。モザイクタイルのデザインもこの階段吹抜け部分は垂直に流れを感じるものでした。壁も緩やかな優しいカーブを描いていますが、その壁とハーモニーを奏でるように美しい階段が人を誘います。
| 建築・設計について | 12:34 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 地下のグリルへと導く階段 曲面の壁 柔らかなカーブ天井
半地下の会議室、ホール階からさらに下へと降りる階段があります。飴色をした木ベニヤの壁にはグリルと表示がありました。下の階は昔は職員さんの食堂として使われていたそうです。格式高いサロン階から少し気持ちが緩むように意図したことがこのカーブの壁から感じられます。



数段降りて向きを変えますと、その先には前室のようなものが見えてきます。
壁が緩やかにカーブしているので、先が全て見えるわけではありませんが、それがかえって足を先に進めたいという気持ちにもつながります。天井は白い天井ですがこれまたカーテンのように垂れ下がるデザインを描いていて、直線のない柔らかさ、包まれた洞窟のような感じがしました。


左側の木の壁が下に近づくにつれて開いていくので、前室が拡がりをもって視界に入ってきます。ちゃんと人の心の動きを読み切ったデザインなのではないでしょうか。


階下に降りますと、きひんとした前室がしつらえてあります。ここでも、一つクッションがあって、気持ちが切り替わり、それから扉を開けて次の間に行く。ただの階段なんですが、やはり考え方一つでその階段自体が大きな意味を持つ。そんな事を思いました。


下からの見上げ。こちらはこちらで、食事の後さあ仕事だと思わせるような躍動感がある天井デザインのように見えます。




内部はシンプルなデザインなのですが、白い部屋ではなくて、しっかり落ち着きのある内装となっています。
| 建築・設計について | 09:21 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 アクリルと真鍮の取っ手 柔らかいデザインの照明
大きなサロンを中心に会議室が配されていますが、その扉に付く取っ手も村野さん独特のデザインがなされています。

人の手に触れるところは、優しいカーブの付いた透明のアクリル。そのアクリルを扉に付けているのが真鍮の金物。握りますと、村野さんの優しさを感じることができます。



会議室の一つ。照明デザインは勿論村野さんデザイン。
品のある光をもたらしています。海の中から泳いでいるクラゲを見たような優雅なデザインです。廻りの壁は階段を降りてきたホールからサロン、そしてこの会議室まで同じ木べニア塗装で、経年変化もありとても落ち着いた色合いになっています。奥は天井が低くなり、左奥には屏風が建てられ、床の間のようなしつらえを感じます。



天井もフラットではなく、面白い形の織り上げ天井になっています。単なる会議だけではなく、パーティー会場にもなる華やかさが付け加えられたもの




会議室内の椅子。座りやすい!


こちらは天井が高い大会議室。


もう一つの会議室。照明器具でがらりとその雰囲気が変わります。
これらいくつかの会議室を半地下に設置しているところに輸出繊維会館の大きな特徴があります。
| 建築・設計について | 08:26 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 日本画家堂本印象のタペストリーが映える半地下のゆったりした社交場 サロン
階段下のホールから扉を開けますと、今度は天井の高いサロンに入ります。このサロンを中心に大小の会議室が4か所設けられています。このホテルロビーのような落ち着いたサロンは村野さん設計のソファーや椅子、目隠し屏風、天井照明などと相まって当時の大阪を引っ張った繊維業界の繁栄がうかがえるような高貴さを感じます。そして、そのサロンに一層の華やかさを演出しているのが正面に飾られたタペストリー。これは日本画家の巨匠堂本印象の作です。落ち着いた部屋の中で煌びやかで、品のある色が何とも気持ちを明るくさせてくれます。







見返りの写真。左奥が階段を降りてきたホール


そしてもう一つ村野さんデザインの円盤型照明がこの部屋の価値を高めています。シャンデリアのような品のある照明
| 建築・設計について | 06:54 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 豪華客船の階段を思わせる優雅な階段と繭から連想した手すりデザイン
さて、輸出繊維会館には2つの玄関があり、一つは半地下にある会議、ホールへの入り口、もう一つは事務所階への入り口です。有機的な庇のある会議室の玄関を入りますと、地下に降りる幅の広い階段が待ち構えます。壁は木練り付け合板、床は絨毯で、これまた手すりのデザインが凝っています。

階段踊り場から下を見たところ


階段の内装


半地下ホール前室から階段を見たところ




この生き物のように滑らかに造られた階段手すり、手摺子と手摺子の間は繊維の元である蚕の繭をモチーフとしたデザインで、まさに村野さんの世界です。
固いステンレスと真鍮が手すりの最後のところでくねり踊るように終わっています。なんとも優雅な手すり。




階段の裏は白で、角は曲面。階段の段と側面にははっきりと輪郭がわかる黒い石が使われています。柔らかさとシャープさを持つデザイン


階段を降りて右手にあるのは会議室の前室
天井は低く抑えてありますが、フラット天井ではなく、照明が入るところが柔らかい曲面が描かれていて、何となく包まれるような暖かみを感じます。壁も緩やかにカーブしています。これは繭の中に包まれている感じなのかな。

前室と階段ホールを軽く仕切る方立も村野デザイン


低く座り心地が良いソファーが並ぶ広い前室。曲面の低い天井と低いソファーですが座ると、目線も低くなり、どこか和室を感じる落ち着いた空間となっています。
| 建築・設計について | 08:35 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 テントのような軽い玄関庇
シンプルな外観を持つ輸出繊維会館ですが、2つの出入り口がありその一つのホール側玄関にはいかにも村野さんらしいデザインの庇が付いています。無機質なモダニズム建築を思わせる外観に有機的な動きのある庇。全体からすると小さな部分ではありますが、この庇によって建物が引き立って見えますし、これが単なるオフィスビルの入り口ではないことがわかります。







金属でできたテントのような軽快感のある庇です。庇を支える細い柱。テントや亀の甲羅を意識させる屋根の構造形式。庇が受ける雨水を逃す樋。防犯を考慮した引き込み式のシャッター。そしてガラスドアに付く手すりデザイン。1960年ですから、検討も図面と模型で行っていたわけで、いかにこの庇デザインに頭を悩ましたことでしょう。


ガラスの脇にシャッターが入っていきます。
| 建築・設計について | 07:35 | comments(0) | -
村野藤吾 輸出繊維会館 大理石の外壁とアールのコーナーがあるサッシによる洗練されたオフィスビル
大阪肥後町にある輸出繊維会館は、地下にホールや会議室を設けた会館、事務所です。まずは、その外観のデザインに驚かされました。外壁はイタリア産のトラバーチンで、そこにコーナーがアール加工された洗練されたサッシが並びます。
1階の部分が壁となり、開口部が無いのは、天井の高い地下の会議室・ホールを半地下としているためです。その壁のお蔭で、地面にどかっと座っているような安定感があります。この現代でも十分使えるデザインの建物が竣工1960年というから驚きです。設計は村野藤吾。







コーナーアールのサッシはステンレス製。上下に分かれていて、上の部分は開かないフィックス窓。下の3分割された窓は実は引き戸になっていて、事務所内に新鮮な自然の空気を取り込めるように配慮されています。


ざっと見た感じはシンプルなんですが、細かく見ていきますとサッシ廻りの水切りデザイン、サッシと外壁トラバーチンと雨水処理を考慮したディテールに惚れるような納まりが見えてきます。外壁トラバーチンは2階より上はサッシと同じ面なんですが、1階廻りは、柱型のように微妙に壁が後退して、そこに影を作り出します。地面と接する部分にまでその細かさは出ていて、柱型と壁の段差コーナーの面の処理、巾木部分を微妙に傾けた造形など、勉強になるところは沢山あります。
| 建築・設計について | 08:41 | comments(0) | -
村野藤吾 森田ビルディング 真鍮とステンレスのうねる階段手すり
外観は黒い塊の森田ビルディング。エントランスホールは明るい玄関です。

入りますと、地下のテナントに降りる階段
吹抜けとなる部分をガラスパーテションの壁で区切ります。
このガラスパーテションを支える支柱、それに繋がる階段手すり。
そこにはまた村野さんらしい有機的な動きのある造形が見られます。



階段自体は機能的な普通のものですが、そこに付く手すりによって芸術品に変わります。それほど、手すりには力があるんですね。






この手すりは2段になっています。手にふれるところは真鍮。それを支えるところはステンレス。ステンレスと真鍮が一体となった造形です。
村野さんの手すりのすごいところは、この手すりが終わる最後の部分。
くねる手すりとでも言うのでしょうか、固い金属がしなるように曲げられ、柔らかさと優しさを表現するまでになっています。
| 建築・設計について | 10:26 | comments(0) | -
村野藤吾 森田ビルディング 迫力がある四角い窓と黒い外壁のオフィス
続いて訪れたのは、道路交差点に建つ黒い外壁のオフィスビル。大阪船場の中に建てられた森田ビルディングです。ガラスは黒く見える熱線反射ガラス。外壁は、黒い御影石。白い明るい建物が多い中で、この黒い建物はインパクトがあり、ドーンと目に飛び込んできます。設計は村野藤吾。1962年の竣工

よくよく見ますと窓の形が5,6階とその下で異なっています。下は長方形で上は正方形
各階ごとに水平に入る設備換気スリットによって水平方向を出しながらも黒い帯を感じさせるデザインとなっています。1階は御影石が柱型として地面に落ちる縦方向のデザイン。そしてサッシの下部分はガラスブロックの壁。
同じ平面ですが、外壁に微妙な変化を作り、単調さを無くし、軽快感は無く、ずっしりとした重さ、そして存在感を感じます。
7階から上はセットバックしていて、表通りからは余り見えません。


石も光を反射。空の青を映し出します。


黒い塊のような重さを感じる建物


1階廻りの黒い石による列柱を意識させるデザイン


こちらが事務所エントランスです。
| 建築・設計について | 08:02 | comments(0) | -
村野藤吾 フジカワ画廊 ガラスブロックと横連窓開口による明るいオフィス 踊る階段手すり
大阪瓦町にあるフジカワ画廊のビルです。ファサードはガラス横連窓とガラスブロックからなり、両側にはベランダを配します。ガラスブロックからは光のみを採り入れ、開口部からは大きな通りを見る。内部は光に満たされたオフィスであり画廊となるわけです。





ベランダの手すりには彫刻的な装飾が施されています。


画廊の玄関扉の取っ手


残念ながら画廊は休みでしたが、ガラス越しに内部が見れました。


優しい自然光に満たされるギャラリー空間。その中には2階へと上がる軽快な螺旋階段が象徴的に置かれています。内部の家具は村野さんが設計したものが残されています。


地下のテナントと事務所に繋がる階段
何と言いましてもこの手すりデザインはさすが村野さんと言いたくなる流動的で生きているかのようなしなやかさが感じられるものでした。




小さなスペースでどうしても居室面積を多く取るため、階段はちょっと無理な納まりになりがちです。この階段も平面で見ますとかなり難しい。しかしそこに付く手すりのお蔭で、階段そのものが芸術品のように見えてきます。なぜこんなに滑らかに見えるのか。階段の段数と手摺の関係から階段が小さいとどうしても手すりを一つに繋ぐ場合、縦の部分が出てきます。この手すりには縦の部材がありません。水平か斜めで全てがまとめられています。マニアックなんですが、簡単そうに見えるこの階段手すりは実はすごい技が隠されているんです。


スチールは何とか曲げれるのですが、人の手に触る部分は木です。途中で切れることなく、一つに繋がってうねるようにできています。デザインもすごいですが、職人さんの技も凄い!
| 建築・設計について | 01:34 | comments(0) | -
船場ビルディング ベンチと緑が置かれた開かれた中庭 レトロでおしゃれなビル
京都の町屋の中庭、スリランカジェフリー・バワの中庭などは、どれも人の心を打つ素晴らしいものですが、オフィスという機能を持つ建物で素晴らしいと思える中庭は、そんなに沢山あるものではありません。この船場ビルディングの中庭は、オフィスといえども沢山のテナントが入るもので、テナント毎にバラバラになるところを、看板、扉、開口部は全て同じデザインで統一されていますし、色もダークグリーンを上手く使いながら落ち着きのあるカラーコーディネイトがなされています。そして中庭にはベンチや椅子も置かれ、働く人達のオアシスにもなっています。十分使いこまれている中庭ではないでしょうか。



奥の方から玄関側をみたところ。壁のスクラッチタイルは1階部分のみ貼られていました。


2階の廊下からみた中庭


3階廊下から見たもの。
何かこの感じはどこかで体感したな。と想い出してみますと、フランクロイドライトがサンフランシスコ郊外で設計したマリン郡庁舎のオフィス空間でした。上から入る光をオフィス内部まで採りこんだ設計でしたが、この船場ビルディングのテナントさんもさぞ気持ち良く仕事ができるのではないでしょうか。


木煉瓦が美しい。


4階の中庭に面する廊下。ここまできますとかなり明るい


さらに屋上庭園までありました。




階段の踊り場レベルにあるオフィス。
手すりもガッチリしてます。


統一されたカラーコーディネート。
| 建築・設計について | 00:12 | comments(0) | -
大阪 船場ビルディング タイルの貼られた外壁。光が注ぐ中庭を持つオフィス
中庭は、今私が一番好きなテーマなんです。都市住宅においては中庭ほど自然を感じ、内部と外部を上手くつなぎ合わせる仕掛けはなかなかありません。これは住宅に限らず、働く場や人が集まるところも同じことが言えます。大阪にある船場ビルディングもそんな素敵な中庭を持つオフィスです。外観はスクラッチタイル張りの柱型とその間の壁に開口部を設けたセセッション風のもの。建物は大正14年に出来、平成10年に綺麗に改修されました。登録有形文化財







さりげない正面玄関が良いです。


中に入りますと、対称形の中に中庭が見え、ちょっとした感動をおぼえます。
両側の壁にはテナントさんの郵便受け。
床は中庭に向かってゆっくりと上がるスロープ。床材はなんと木煉瓦。木を煉瓦のように隙間なく並べたもので年期が入ってます。この建物ができた時はオフィスと住宅だったそうで、トラックや荷馬車を通りからそのままこの中庭に導きいれるようにスロープになっているとのこと。


中庭といってもいろいろありますが、ここは天井の無い完全な外部空間で、各テナントに行くには、この外部に開放された廊下を通っていきます。仕事の休憩にちょっと廊下にでるだけで、美しい中庭を見ながら自然の風や光にあたり気分転換ができますよね。スケールも丁度ヒューマンスケールで住宅の延長的な感じ。これがまた落ち着きをもたらします。


柔らかい光が木煉瓦床に落ちて、とても落ち着く中庭空間です。
| 建築・設計について | 05:22 | comments(0) | -
安井武雄 大阪ガスビルディング docomoの文化遺産モダニズム建築
大阪の大動脈御堂筋。その御堂筋には多くのモダニズム建築が建っていましたが、建替えが進みいまでは貴重な存在となっています。明治時期の建物は残すのに、なぜ優秀なモダニズム建築が次々と壊されていくのか。今の時代を生きる中年以上の人達がその青年期、働き盛りの時期にお世話になった建築物。そこには多くの人達のエネルギーが注ぎ込まれ、また想い出も一杯つまっています。年をとってその建築を見れば、また昔を想い出すし、それがゆえに愛着も湧く。壊されて、新しい建築がその前の建築を超えるものができればまあ納得しますが、なかなか超えらたと思うものはできない。とても悲しいことです。
さて、この大阪ガスビルディングは今もって現役バリバリ。その雄姿を御堂筋に堂々と見せてくれていました。

角をアールとし、低層部に黒い花崗岩。上部は白いタイルの外観です。
各階層毎に庇を跳ね出していまして、その庇の先端にも黒い石を廻すことで水平ラインを強調しています。
また、開口部と開口部の間にはアールをもつ柱型を付けることで縦方向もきちんと表現。なかなか凝ったデザインです。


陰影ができて深みを感じるファサード


1、2階を黒い花崗岩にすることで、ぐっと低層部が締まって見えます。
2階はガラスが外周部にまで廻っています。
ここはガスのショールームとしてガス器具や調理の教室などにも使われていました。


側面部分のアールの付いた出窓部分


建物の右半分は増築部分。増築部は戦後事務所後継者の佐野正一による設計。
窓の部分を新しくデザインしているが、全体としてとても統一感があり、しっくり納まっています。


御堂筋と反対側の道路から見た外観。増築部分を上手くデザインして、新しいものと古いものを違和感なくつなげている、増築のお手本のような外観ファサード
新旧まったく同じものではなく、その時代にあった新しいデザインをし、かつ古い建物にも合わせて全体をまとめる。これには優れたセンスを要します。


増築部低層部の納まり。黒い石壁の端部の納まりが美しい。


増築部コーナーのディテール
コーナー庇や、サッシの間の半丸の柱型も上手くアレンジ。
しかし、実に手の込んだ仕事をしています。やはりdocomo(近代建築に関する建物、敷地、資料化と保存の為の国際組織)に選ばれた名建築だと納得しました。
| 建築・設計について | 01:25 | comments(0) | -
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