冨田秀雄の設計日記

家づくりへの想い、考え、そして私的な内容を綴ったブログです。
前川國男 弘前市斎場 家族の悲しみを受け止めるコンクリート格子の屋根
エントランスは大きな屋根で守られていますが、この大屋根は鉄筋コンクリート造。少ない柱で、重い大屋根を支えているのですが、普通の梁ですとその梁が大きくなりすぎるので、梁を格子状に組み、大きなスラブ梁のような形となっています。そのコンクリートの格子の屋根がまた静けさを表しているようにも感じました。

くすんだ黄緑カラーの丸いコンクリート柱は前川建築のイコンです。


柱と壁が少ないので景色がズバッと抜けて見えます。




力強い格子の屋根


玄関へと導かれます


玄関入りますと、正面に受け止める壁が立ち、右が火葬棟の炉前スペースへの入口、左へ行きますと待合スペースとなります。


一般待合スペースから炉前室方向をみたところ。
| 建築・設計について | 08:28 | comments(0) | -
前川國男 弘前市斎場  廻りの山に溶け込む大屋根
建築家前川國男の最晩作の建築。禅寺を抜けて、大きな樹木に囲われた敷地に周りの自然に溶け込むような形で佇んでいます。
大きな屋根のあるエントランス・炉前ホール・拾骨室・事務室の火葬棟と、レンガタイルの平屋の待合棟で構成された建物です。

車で進むと、大きな屋根が迎えてくれます。
大屋根のところには、拾骨室の天井に放たれたトップライトが見えます。
このトップライトは岩木山の方に向いていて、室内に光を注ぎ込むと同時に魂を山に返すという意味合いから設けられました。


丸いコンクリート柱でしっかり支えられた水平に伸びる大屋根


周りの環境に溶け込むような自然の形態です。


火葬棟は、金属屋根とコンクリート打ち放しの外壁による構成

| 建築・設計について | 13:38 | comments(0) | -
弘前市 旧藤田家別邸洋館 アーチ状の柔らかい天井や開口部を持つ人に優しい建物
この旧藤田家別邸にはいくつかの半円がモチーフとして使われています。
テラスに出るところの半円窓もその一つですが、玄関入りまして、吹抜けとなったホールの天井はアーチをしていますし、2階に上がる階段の天井も半円。また次の間に開けられた開口部の枠もアーチです。柔らかい円は優しさを空間にもらたします。家という寛ぎの場では緊張感は不要で、やはり気持ちが緩む曲面をどこかに入れ込むと良いと思います。

玄関入ったところの吹抜けホール。アーチの天井と開口部が美しい


2階の渡り廊下


階段の見上げ。柔らかい感じで良いです。


開口部の枠もしっかりアーチ。太い木の枠が空間を締めます。


半円の出窓とその天井




テラスに出る半円開口もそうですが、出部屋も良い感じ。大きな部屋にまた人が集まる小さなスペースを作ってます。テラスは心地よい団欒の場所。大きなリビングの小さなくぼみもまた、少人数で集まるのに適した場所です。




振り返りますと暖炉スペースがあります。
大きな部屋にドーンと暖炉があるのではなくて、ここでも暖炉の廻りを腰壁で囲みスペースを作った上で、造付けのソファーをしつらえています。


設計者は、人が集まりまた談笑するいくつかの気持ち良いスペースをあちらこちらに造りこんでいます。きっと居心地の良さを追求した結果、このような優しいデザインになったのでしょう。


人の目を楽しませるステンドグラス。設計者の人柄がわかるような気持ち良い建物でした。
| 建築・設計について | 11:06 | comments(0) | -
弘前市 旧藤田家別邸洋館 ガラス開口で覆われた明るいテラス
さて、中に入ります。広いリビングには暖炉スペースや、出窓の応接スペースもありますが、何と言いましても庭に対して沢山のガラス窓を設けてあるテラスが気持ち良いのです。リビングとテラスは、しっかりとデザインされた開口部が仕切っています。半円のガラス窓もまた美しい。弘前ですので、当然冬は寒いわけでして、その季節にはこのテラスが緩衝地帯となるわけです。

大きなリビングからテラス方向を見たもの。
半円形の窓が綺麗でしょう。


テラスに出ますとこんな感じで、外壁が2重にあるようです。というかこのテラスは、半外部的扱い
腰壁から床にかけては、白い美しいタイルが貼られています。


綺麗な開口部が並びます。
太い柱は円柱。やはりここは外部のような内部


今はレストランとなっている部屋から見たところ。窓から入る光が、床のタイルや壁に反射してこのテラス全体を光の部屋に変えます。なかなか良く考えられていますよね。


壁が重なって外部と繋がる感じ


外から見ましても、この丸い柱が象徴的で、デザインの要となっています。
| 建築・設計について | 07:40 | comments(0) | -
弘前の洋館 旧藤田家別邸 変化に富む外観
登録有形文化財にもなっている旧藤田邸別邸洋館です。
まずは、外観の複雑な屋根に驚きます。
入り口正面から見て右には大きな瓦屋根が反りながら玄関まで伸びてきています。屋根の途中には暖炉の煙突が空に向かって伸びています。さらに左側の部分は切妻屋根。その間に八勝手いの塔が付き、その塔の屋根はとんがり帽子のような赤い尖塔屋根。よく納まっているなーと施工技術の高さに感心。





庭にまわって建物を廻りこんでいきますと、表情が変わります。


そして南側の庭に面する部分は、こんな開放的な窓が並ぶ美しいファサード。
正面とは違う建物かと思うようなしつらえです。
大きな瓦屋根のところには半円のドーマー窓がお洒落に付きます。
1階はテラスとなり、庭を眺めてくつろぐサンルーム
2階は個室となります。



モルタル塗りの外壁も迫力があって良いです。
設計は堀江金蔵。棟梁堀江佐吉の6男だそうです。
| 建築・設計について | 11:35 | comments(0) | -
前川國男 弘前市緑の相談所 水平に伸びる深い庇
大きな屋根の下の大きな軒。屋根が大きいと、こんな感じで水平ラインが伸びて景色を絵のように切り取ります。丸いコンクリートの柱がしっかり大屋根を支えます。

外に飛び出している大庇の軒天は木でしかも水平


中から見た時、水平の軒天のため、景色がバチッとフレームに納まります。




大きな会議室から外をみたところ。
内部に入りますと外から繋がる庇の軒天井は屋根の勾配なりに上がっていきます。




玄関はいりますと吹き抜けホールとなります。


木の勾配天井。打ち放しの壁、そして明るいハイサイドライトからの光
コンクリートはビシャン仕上げ


2階の太い木の手すりで前川建築であると解ります。
| 建築・設計について | 09:31 | comments(0) | -
前川國男 弘前市緑の相談所 庇が伸びる環境に溶け込んだ景観重要建造物
弘前公園の中にある弘前市緑の相談所。弘前に残る前川建築の一つです。
桜の環境に配慮したボリュームを抑えた設計で、正面からは、低く伸びる銅板の片流れ屋根と赤い煉瓦タイルの貼られた外壁が木々の間にひっそりと佇みます。
建物はL字型で、古い桜の木を残しながら計画されました。











大きな庇が出て、豊かな軒下空間を作ります。


後ろに回るとまた雰囲気が変わって煉瓦タイルの2層の外観
正面からの低い屋根がそのまま片流れで上がってきてこの面で繋がっています。
大きなソメイヨシノをコーナーに残しながら、L字型の建物配置を考えた跡が読み取れます。ここには、弘前市古木名木の日本最大幹周を持つソメイヨシノのあります。正面から見た時には圧迫感をまったく感じさせない環境に溶け込んだ建物です。
| 建築・設計について | 10:27 | comments(0) | -
ふるさとあおもり景観賞 民間建築部門最優秀賞にみちのく銀行むつ支店が選ばれました
昨年完成した青森県むつ市のみちのく銀行むつ支店が、ふるさとあおもり景観賞の民間建築部門で最優秀賞を頂きました。
ある程度の規模がある建築は、都市や街並みに対して大きな影響力があり、設計した建物が景観に対して高い評価を頂いたことは何にもまして嬉しく思います。
昔からある街並みに対してはその場に溶け込むことを、新しい街並みや混沌としたところには、整然としたものや、インパクトがありながらもあたかも昔からそこにあったような建築を目指していますが、そんな考えが実を結んだのかもしれません。
今回の建物ではみちのく銀行さんから、むつ市のお客様が、気軽に下ばきで訪れることができるような市民に開かれた銀行にしたいという要望が最初にありました。いかに使い勝手がよく、働く銀行の人も気持ちよく仕事ができるか等を皆で話し合いクリアーにしながら、建物完成までこぎつけたわけです。
建物を造るためには、それこそ施主の想いや経済的諸条件が揃い、良い技術者や職人さんの多くの手を通じてようやく3次元として現れるわけでして、まさしく、建築はプロジェクトに携わった人々のエネルギーの結晶だと思います。これからもひとつひとつ想いをこめながら設計していこうとあらためて思いました。皆さんに感謝です。



丸い建物は、丁度道路の角に沿うようにしています。
また、すべてのコーナーも丸くして、角のない優しいイメージの建物にしました。





冬の白く覆われた北の大地に行燈の暖かさを提供できるように窓はスリット状に配置しました。


お客様のほとんどは車での来社なので、駐車場側も正面と言えます。この建物は裏面のない建物なんです。


白い優しい全体像の中で、玄関だけはそれだと解るようにみちのく銀行さんのカラーであります緑色の庇と、風よけ壁としても使える立て看板を設けました。


こちらは、道路交差点側の入口
| 建築・設計について | 01:08 | comments(3) | -
弘前市 旧東奥義塾外人教師館 窓の多い外人教師の住宅
旧弘前市図書館の隣には旧東奥義塾外人教師館が建ちます。
木造2階建ての住居で、東奥義塾の外国人宣教師の為の住居として使われました。面積約280屬任垢ら約85坪の大きさ。



1階は今カフェになっています。2階は住居をそのまま展示


出窓にベンチが置かれた寝室
壁の色が鮮やかです。




こちらは主寝室に続く書斎


窓が沢山開けられていて、明るい。


ベランダと呼ばれる部分。雨が降っても遊べます。
居室と外部との中間領域として設けられた部屋とでもいうのでしょうか。壁のほとんどが開口部。開けると外部と繋がります。私はこういう外でも内でもないような空間がとても好きです。


奥は、ベランダに沿った物干し場。屋根が架かったサンルームにもなります。
最近では花粉やもろもろの飛散物質から洗濯物を室内干しにする家庭も増えています。光が十分に注ぎ込み、雨の日でも使えるサンルームの物干し場は今の住宅にもほしいところ。
| 建築・設計について | 10:29 | comments(0) | -
旧弘前市立図書館 八角形の壁の中を進む階段

旧弘前市立図書館の平面図です。
八角形のドームの中にうまい具合に階段を納めていますが、なかなかの力技でした。

左が玄関で、玄関を入りますと、すぐに階段です。


壁に沿って廻りながら昇ります。



2階


2階にある閲覧室


さらに上に昇る階段が複雑。そのままぐるりと廻りながら昇るには距離が足らないので、ここからは直階段になっています。途中の踊り場は宙に浮いているような感じ。

なかなかの芸術品です。
| 建築・設計について | 09:44 | comments(0) | -
旧弘前市立図書館 8角形の塔を持つ木造3階建ての図書館
旧弘前市立図書館は、明治39年の竣工。
設計施工は堀江佐吉。ルネサンス風の洋館で左右2つの8角形の塔と、その真ん中にあるドーマー窓、赤い屋根、多くの開口部が特徴です。図書館に始まり、アパートや喫茶店としても利用されたが、今は市のものとして市立郷土文学館となりその姿をとどめています。多くの人達のこの建物に対する熱い想いが詰まった建物で、これからも弘前市の重宝として大切に使われていくでしょう。

正面のファサード 多くの開口部が内部を明るくし、図書館としての機能を満たします。深い緑の窓額縁、白い漆喰の外壁、ドーム型の赤い屋根が対称形をなし、モニュメント性があるシンプルで力強い建物だと思いました。


裏側はこんな感じで、正面の対称形とは異なり、なかなか複雑で楽しい外観




こじんまりとした住宅スケールの玄関です。深緑の扉や、屋根ペディメントがアクセントとなり、建物を締めています。


8角形の中にある閲覧室は明るいですし、囲まれ感が心を落ち着かせます。
| 建築・設計について | 09:16 | comments(0) | -
星野リゾート界津軽(旧南津軽錦水)青森伝統工芸の津軽こぎん刺しに触れる
前川國男設計の弘前こぎん研究所も訪れましたのでこぎん刺しが青森の伝統工芸品であることは、知りましたが、ここ界津軽のお部屋にもこぎん刺しが添えてあり、実物に触れることができました。
客室の扉を開けますと、廊下が伸びた和風の玄関に感動。

床の間のようにコーナーに飾り床のようなしつらえがなされていて、上からこぎん刺しの織物が下げられていました。


綺麗な文様。室町時代に保温性と強度を保つために衣服に縫われたこぎん刺し。その模様は美しく、色も綺麗です。


右手は洗面所


玄関のあかりには、避難経路が。なかなかのアイデアです。




洗面の充実したアメニティー


鏡の照明もこぎん模様が入ります。


客間の床の間


障子にもこぎん模様が透かして見えます。

私の仕事は衣食住の住む部分ですが、食もやはり奥が深い。
食事の内容も素晴らしいのですが、その盛り付けには芸術を感じます。
ひとつひとつ作り手の想いが込められた料理。感謝して頂きます。
質の高いものを、丁度良い量で提供。考え抜かれたサービスだと思います。
日本に生まれて良かったなーと思える一瞬です。


| 建築・設計について | 12:31 | comments(0) | -
星野リゾート界津軽(旧南津軽錦水)加山又造画伯監修の陶板壁画がロービーを飾る
ロビーの壁面一杯に飾られた壁画は加山又造画伯が描いた原画を氏の監修のもと陶板で再現したものだそうです。5月の桜、秋の紅葉、そして津軽の荒波を表現したもので「春秋波濤」という作品。



津軽の冬は厳しく、春になると一斉に桜が咲き乱れます。


そして短い夏が終わり、紅葉が山を染める。


夜には、この壁画の前で津軽三味線の演奏が行われています。




その他館内には加山又造画伯の美人画をはじめ、ロビーやエレベーターホールには作家の花瓶が据えられています。






青森の夏の祭りといえばねぷた。市内の他、いろいろなところで特徴ある夏の祭りがおこなわれます。今の時期はその製作準備期間




大鰐ねぷたに使われるものが廊下に飾られておりました。
| 建築・設計について | 07:55 | comments(0) | -
星野リゾート界津軽(旧南津軽錦水) 開放的な廊下 池に写る美しい照明の光
水盤というのは、やっぱり良いもんです。水そして火、土といった要素が建物に盛り込まれることで、人の根底にある自然とのつながり、親しみが湧いてきます。水がないところに人工の池を作るには、それなりのコストもかかり、維持メンテナンスもこまめに対応しないといけないわけですが、そこに身を置く人の心には、心地よさというお金では計れない価値をもたらします。

外壁タイルも細かなディテールまで設計されています。
1990年の竣工。この時代は良いものをしっかりお金もかけて造るという建物も多く、その良い部分が今に残る建物です。


特に夜に光が水盤に反射する景色は、良いですよね。






客室棟の最上階の廊下はこんなに開放的
大きな屋根の下にガラスの屋根が設けられています。間接光が入る美術館のような廊下


夜はこんな廊下に変わります。


長い廊下のは階段室が途中設けられ、そこのスリットはガラス開口部。
そこから庭が見えるという仕掛け


どこも手を抜いていない、作りこまれた建築でした。
設計は坂倉建築研究所 
| 建築・設計について | 12:41 | comments(0) | -
星野リゾート界津軽(旧南津軽錦水) 池の上に建つリゾートホテル 池の上を進むアプローチ
弘前から車で10分程度走りますと大鰐温泉に着きます。大鰐温泉の開湯は約800年の歴史があるというもので、昔からの湯治場として栄えました。温泉のお湯は無色透明。ゆっくりとした時間を過ごすことができました。
さて、いつもホテルに着くと、その導入部が一番気がかりなんですが、この建物も頑張っています。

大きな庇が迎えてくれる玄関


木の両開き扉を開けますと、水盤が見え、その向こうにも建物が。


ガラスの大開口の手前にはお客様を迎えるお花が植えてありました。


90度振り向いて水盤の上の廊下を進みます。


やがて見えてくるロビー


ここで一気に天井の高いロビーに出ます。
正面の壁画は加山又造画伯のもので、インパクトがある素晴らしい絵です。


ぐるっと大きなガラス開口からは、池を挟んで庭園が拡がります。




ロビーで受付をした後、右のガラス廊下を通りまして客室棟に向かいます。
なかなかの建築的な演出でした。
| 建築・設計について | 10:22 | comments(0) | -
前川國男 弘前市役所 緑が見える明るい吹抜けホールと重厚な木の手すりを持つ階段
弘前市役所に入りますと、まず2層吹き抜けのホールがあり、そこから各部署に分かれていきます。吹抜けを廻りこむように設けられた階段。回遊性のある廻り廊下。そして弘前公園の緑を取り入れる大開口。いかに気持ち良く働けるか、そして役所に来た人もいかにくつろげるか等、人の気持ちを大切にしている設計です。





打ち放し本実仕上げの柱は外部から内部へと連続してきます。構造の梁もしっかり見せて、力強い表現。
2階のホール開口部からは弘前公園が目に飛び込んできます。


正面に見える赤い屋根の建物は、移設された弘前図書館



業務用の階段とその奥のホールの吹抜け
階段の壁は赤く塗装されていて、来た人を楽しませようという前川さんの気持ちが表現されています。
抜けがあって気もちよい空間


階段の手すりはびっくりするぐらい太くしっかりした木。
前川さんの手すりは重厚で、寄っかかってもビクともしない安心感がありますよね。


こちらは、大開口から光が注ぐ打合せ・休憩コーナー
高い天井のもとで、心が和むようなしつらえです。


長く伸びた大庇。雪や風から人々を守る安心感をもたらす庇です。隣では今新館が工事中。
| 建築・設計について | 10:57 | comments(0) | -
前川國男 弘前市役所 弘前城追手門と呼応する水平に伸びた庇と柱・梁を表した外観
弘前市役所の庁舎です。昭和33年竣工の本館。右の打ち込みタイルの塔状建物は新歓です。弘前城のお濠に沿うような形で配置された本館は、2枚の大きくはね出した庇と、柱、梁をリズミカルにそのまま外観に表した意匠で、弘前城の追手門と呼応するように建っています。



本館は、文化庁の登録有形文化財に昨年3月に登録されました。
新館との対比と融合が美しい建物です。




コンクリートの打ち放しは、木の型枠がそのまま意匠になるもので、柱・梁のグリッドの間の壁には煉瓦タイルが積まれています。コンクリートの冷たさと煉瓦タイルの暖かさが上手くマッチしています。


雪から市民を守る大庇の下がエントランス。その天井の大庇のグリッドの中は前川さんのブルーが塗られていました。


弘前の桜はまだ、もう少し後です。
| 建築・設計について | 08:21 | comments(0) | -
前川國男 弘前市民会館 光を受ける壁と吹抜け大ホール
ホール棟の方に向かいます。内部は入れなかったのですが、ホワイエはガラス越しに見れました。
まず、長いエントランスポーチから玄関に入ります。そこは低い天井のまま。光を受ける壁からは室内に反射光が差し込み、2階へと向かう大きな階段が見えます。
低く抑えられた感覚から階段部分の大きく高く広がる空間へ。この開放感というか気持ち良さは、感動に値します。壁の反射光も外の木陰を映し出す形で絵になります。

低い天井は前川ブルーに塗られています。


木漏れ日が差し込み光り輝く重厚なインパクトのある階段。所々に着色された赤い壁がコンクリートの壁にアクセントを付けています。この時間帯ですと、丁度光に導かれるように上に昇っていきたくなります。


階段を上がりますと、天井の高いホワイエに。
ここの特徴は壁からの光。そして天井から吊られたパイプオルガンや金管楽器を連想させる照明。さらに、構造の力強さをそのまま表現した天井や、吹抜け階段廻りのコンクリート手すりの造形も見逃せません。




壁に反射する木陰が美しい。


外壁に設けられた光を調整する壁。恩師ル・コルビジェが用いたブリーズ・ソレイユがここに受け継がれています。


ブリーズ・ソレイユは、弘前の位置を計算し、光が上手く反射しながら入るように配置されています。
| 建築・設計について | 09:54 | comments(0) | -
前川國男 弘前市民会館 重厚で存在感のあるコンクリートの階段
階段を見れば、設計者の好みやデザインの基がわかります。弘前市民会館の階段はコンクリート。でも正面から見ると、向こうが透けているので、野暮ったさは微塵もかんじません。重厚感があり、その存在感があればこそこの吹抜けホールがグッと締まるわけです。手すりも半端なく太い。どこを握ればよいかちょっとためらいますが、そのゴツさがまた魅力です。
今、このような手すりはあまり見かけません。彫刻的な手すり。



スリット状に抜けているので、階段が一つの塊ではなくてパーツの集合体として見えます。


光が抜けるので暗くありません。踊場を支えている柱もデザインされています。


彫刻的な手すり


そしてこのホールにはもう一つ彫刻が。このコーナーを作る椅子はコンクリート製。吹抜けホールの休憩する領域をしっかり創り出しています。存在感抜群。
| 建築・設計について | 09:07 | comments(0) | -
前川國男 弘前市民会館 囲まれた落ち着きのある吹抜けホール
さて、まずは管理棟へ向かいます。
このエントランスポーチは天井が低いのですが、両側が抜けていてなかなか気持ち良い。
ヒューマンスケール。この低く抑えられた導入部が次の感動を呼び起こします。



管理棟は、いくつかの会議室、事務室、そして中二階のカフェで構成されていますが、その中心となるのが吹抜けホール
そこまでは玄関から入って低い天井が続きます。天井はブルーで着色。袖のコンクリートの壁は赤色。華やかで良いじゃないですか。
正面に階段が見えます。


更に進みますと、吹抜けホールに出ます。2階吹抜けなので、それほどの高さはないのですが、最初天井が低く抑えられているので、ワッと視界が拡がり、数値以上の拡がりを感じます。
この吹抜けホールの最大のモニュメントは階段の手すりでしょうか。このごつく力強さは前川ワールド。


吹抜けを中心として会議室が取り囲みます。天井は夜空を表す濃いブルー


大きな開口部からは弘前城公園の緑が見えます。そしてステンドガラス。
天井のダウンライトは星のように暗い天井に点在して輝いています。
右の奥がカフェ


2階の廻廊。
ただ廻廊を廻すのではなく、数段下がったところにカフェを設け、レベルを変えることで空間に流れを創り出しています。歩いていても何だか楽しい。




中2階に設けられたカフェ。このカフェからそのままエントランスポーチ屋上に続いていてそのままホールへと繋がります。
ホールや管理棟のレベルを実に検討して成立しているプラン。見事です。


管理棟のプランはこんな感じ。掘りの深い外観を成立させている外皮の複雑なデザインの中に、シンプルな吹抜けホールがビシッと納まっています。
優れた建築は、平面図も実はシンプルで綺麗なんです。
| 建築・設計について | 10:14 | comments(0) | -
前川國男 弘前市民会館 コンクリート打ち放しの環境に溶け込む建築
弘前市民会館です。管理棟とホール棟の2つのボリュームを長いエントランスポーチがつなぐ構成です。この長いエントランスポーチの上も通路として利用でき、廻りの自然を思いっきり楽しむことができます。久しぶりに見るコンクリート打ち放し建築ですが、型枠の木肌をそのまま表現したもので、自然となじむのが解ります。大きなボリュームですが、開口部により、その塊を文節することで、威圧感はありません。

道路からの入り口。正面に見えるのが、管理棟の打ち放し建築


公園のほうに回り込みますと、全容が見えてきます。
左の建物が管理棟で、そこに長いエントランスポーチが伸びていきます。


そのエントランスポーチのもう一方がホール棟


ホール棟の外壁
1964年の竣工とは思えない、美しさ。


管理棟を見たところ


エントランスポーチには外部階段からもアクセスできます。
シンプルな構成ながら、奥深い造形
このボリューム感、存在感は、忘れていた感覚で、まさに建築の持つ力強さを想い出させてくれました。


エントランスポーチの上に上がったところ。見えるのは、管理棟で正面はレストランになっています。コンサートなどが行われた時には、このエントランスポーチは多くの人で賑わいます。市民会館を訪れると、ワクワクするのが解ります。


こちらはホール側。繋がっているので、レストランからホールへと2階のこのブリッジを介して移動できます。何だか演奏前にレストランでお茶をして、この緑が見えるブリッジを渡って音楽を聴きに行くなんて想像しただけで楽しそうじゃありませんか。
| 建築・設計について | 09:24 | comments(0) | -
前川國男 弘前こぎん研究所(木村産業研究所) 曲面壁のある貴賓室
こぎん研究所の平面図です。

1階のガラスホール、バルコニーがやはり目玉ですが、しっかりピロティーや屋上庭園も設けられており、実にシンプルながらも奥の深い平面図なんです。この図面だけではやはり建築の空気感はわかりませんが、設計者の頭の中はいろいろな場面が作られていて、それが3次元で実現しているんです。1階の玄関ホールからまっすぐ廊下を歩きますと、右がわに貴賓室があります。ここは応接室的な使い方もされたのでしょうが、特徴は曲面の外壁。自立した円柱をぐるりと回るように壁が外へと伸びていきます。そこには勿論横連窓の開口部。モダンですよね。これが80年前に現れたときは、さぞ、驚いたでしょう。


玄関から続く広い廊下


廊下から玄関部分の見返し。光がふんだんに入ってきて明るい感じがよくわかります。


貴賓室


アールの壁と横連窓の開口部そして独立して建つ円柱


その貴賓室を外から見ますとこんな感じ。
コンクリートもその時代によく綺麗に造られていると思います。


左が正面と繋がる円柱で持ち上げられたピロティー
この建物はDOKOMOMOに選ばれていますが、実際見て体感して、その意味が良く解りました。これからも大切に使われて、次の世代にもきちんと残していきたい名建築だと思います。
| 建築・設計について | 10:19 | comments(0) | -
前川國男 弘前こぎん研究所(木村産業研究所) 前川圀男プチ博物館
白い空間の中に黒い床そして黒い手すり笠木の階段がありそこを昇ります。

踊場は、2階からの光が入り、明るい階段となっています。
階段の蹴上寸法は小さく、昇りやすい階段


2階は広めのホール状となっているので、開放感があります。


光が白い壁に反射して1階に落ちていきます。


窓の外は玄関上部の廻廊バルコニー
バルコニーには正面ではなくて、横から廻りこんで出るように設計されています。
横開口からは光が階段室へと注がれます。


ここ弘前こぎん研究所の2階には前川圀男のプチ博物館が設けられていて、弘前にある前川建築の図面や写真、模型が飾られています。
| 建築・設計について | 09:58 | comments(0) | -
前川國男 弘前こぎん研究所(木村産業研究所)細いスチールサッシの明るい開口部
さて、中にはいります。この建物のメインはやはりこのエントランス部分。跳ね出した回廊バルコニーの真ん中の吹き抜け部分から沢山の光がエントランスホールへと注ぎ込まれます。



正面のガラス大開口。スチールサッシのラインは細く、シャープで美しい。


90度右に回り、玄関扉から中に入ります。


ガラスで囲まれた前室は、寒い地方の風除室にもなります。


中に入って風除室を振り返ったところ。


そして光で満たされる白い壁・天井の玄関ホールがここです。
右側には2階へと昇る階段


大きなガラス開口部からの光で満たされる明るくモダンな玄関ホール
バルコニーによって一つの間を作り、内部においてもそのバルコニーからの光による明るい空間を創り出す。簡単な構成ながら見事な効果を生んでいます。
縦と横のスケール感も実に気持ちが良いです。
ル・コルビジェから学んだモダニズムの建築がまさにこの弘前で花開いたんですね。素晴らしい。
| 建築・設計について | 00:11 | comments(0) | -
前川國男弘前こぎん研究所(木村産業研究所) 白いモダニズム建築
青森県弘前市には建築家前川圀男の秀作がいくつか残されており、今も現役で大切に使われています。
木村産業研究所は、築80年の建築で前川圀男の処女作。レーモンド事務所にいる際に設計を手掛けたもので、白いモダニズム建築。白い壁に開けられた横長の開口。ピロティ、屋上庭園などル・コルビジェから学んだ現存する日本最古のモダニズム建築。通りを歩いてもここだけ雰囲気がガラッと変わります。


白い箱に付く飛び出したバルコニーがここがエントランスであるとしらしめます。



正面右端には通り抜けることができるピロティーを設置。
丸い柱と天井高さ、開口部長さのプロポーションがまさにコルビジェ的
天井は赤く塗装


そしてこのバルコニーです。なんだ、普通じゃないか!と外からは見えますが、近くにいきますと上から光が注ぎ、バルコニーと言えども床の部分に穴が空き、吹抜けとなっているのが解ります。従ってこのバルコニーは大きな床ではなくて廻廊なんです。


上を見上げますと、吹抜け天井は赤く塗られています。
この大きな開口部から光がエントランスへと注ぎ込まれる仕組み。
シンプルでありながら効果的なデザイン。これはさすがです。




2階に昇りますと、こんな具合です。真ん中に大きな開口があり、廊下が廻ります。手すりもシンプルでいいな。


外の腰壁は繋がらないで、正面はあくまでも白い1枚の壁として独立し、両サイドはスチール手すりとなっています。
このバルコニーは、一時壊れていましたが、復旧により昔の原型に戻され、ダイナミックな構成が体感できます。
| 建築・設計について | 00:07 | comments(0) | -
十和田市アート広場 草間彌生の黄色いかぼちゃやキノコが楽しい
思わず、何これ!というインパクト抜群の草間彌生氏の作品がここ十和田市美術館の向かえアート広場に展開させています。アートをそのまま遊び場としてはしゃぐ子供達を見ますと、本当にアートが街にうまく溶け込んでいるなと実感できます。
黄色いかぼちゃやキノコ、そして少女等一連の作品は「愛はとこしえ十和田でうたう」という題名





中に5人は入れる大きなかぼちゃ
この黄色いかぼちゃは直島でも見ましたが、どこに現れても強烈な印象で2度と忘れないなー。そういう意味でも凄い作品です。頭にこの印象がずっと残るんですよね。
かぼちゃさんの内部は真っ黒に塗装されていて、光のつぶが散りばめられています。
外の強烈な印象とは真反対の静かな守られた空間



光の色は時間と共に変化します。不思議ワールド
| 建築・設計について | 00:44 | comments(0) | -
十和田市現代美術館 アートが街に活力を与える
地方の街には活性化する起爆剤が必要です。人口が減り、若い人達は皆大きな都市へと仕事を求めて移り住んでいきます。多くの地方が抱える過疎化。都会の人達わわざわざ遠いところまで呼び込んでくるには、大きなインパクトのある何かが必要。あちらこちらで開催されているビエンナーレもその一つですが、やはりアートの力は凄い。建築では何と言いましても成功している十和田市現代美術館はその先駆的なものでしょう。設計は豊島美術館や金沢21世紀美術館を設計した西沢立衛氏。2008年に完成した後も、多くの来客者で賑わう、地方都市の宝みたいな美術館です。多くの市や美術関係者がこの美術館を介して十和田市をもりあげています。

街に開かれた美術館


街に芸術が飛び出しそうな環境設計が素晴らしい。
大きな赤い蟻は、椿昇氏のアッタという作品。


十和田市の駒街道からイメージされたチェ・ジェンファのフラワーホース
十和田4の通りを彩る花や、未来の繁栄を象徴する作品


白い外壁に描かれた奈良美智氏の可愛い?少女夜露死苦ガール2012


ポーリ・モリソンによる壁画 リンゴの木をモチーフとした白黒の絵で
色は、来館者が自由に想像するという作品


高さ9mの吹抜けカフェから街を眺める


床はマイケル・リンの花模様の作品
今回訪れたのは2回目ですが、常設展示も飽きのこない作品ばかりで、つい見入ってしまいました。
| 建築・設計について | 00:27 | comments(0) | -
青森県下北 風間浦の海 春が近づく東北
青森下北に行ってきました。むつ市のみちのく銀行に立ち寄り、大間までドライブ。帰り道アンコウで有名な風間浦を通る道から綺麗な海岸線が見えました。
東京では桜満開。まだ青森は雪もところどころ残っていますが、海からの風はやはり厳しい冬のものとは違いました。確実に春が近づいてきています。








| - | 10:13 | comments(0) | -
la kagu 神楽坂に続く広いウッドデッキと大階段
地下鉄東西線の矢来口を上がりますと、目の前に大きなデッキのある広場と階段そしてその奥に倉庫を利用したお洒落なショップが姿を現します。
坂になっている場所にデッキを張り巡らせ、階段で勾配を調整し、建物まで人を引きつけていく。なかなかのデザイン。
もともと新潮社の本の倉庫をリフォームしたショップは、あくまでも商品が主役となり、街に溶け込んだ建築もいけてます。シンプルですがインパクトのある建物、そして環境を生み出しました。設計は隈研吾氏





夕方になりますと、帰宅する人達が光の中に吸い込まれていきます。
勿論売られている商品も落ち着いた時代を超えるすぐれもの。


建物と道路との大きな空地にデッキを大胆に張り巡らせたことで、気持ち良い空間が生まれています。


2階へも階段も気持ち良い


この計画では、建物はローコストで既存を上手くリフォーム。外部環境のデッキや階段にはそれなりの金額を費やして素晴らしい環境を作り出しました。やはり外部空間というか環境設計は街にとっては非常に大切であると思います。
| 建築・設計について | 02:14 | comments(0) | -
CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< April 2016 >>
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • インスピレーションとオリジナル
    ヒゲのなくなったヒデちゃん (06/03)
  • インスピレーションとオリジナル
    snow (06/02)
  • ふるさとあおもり景観賞 民間建築部門最優秀賞にみちのく銀行むつ支店が選ばれました
    snow (04/26)
  • ふるさとあおもり景観賞 民間建築部門最優秀賞にみちのく銀行むつ支店が選ばれました
    ヒゲのヒデちゃん (04/26)
  • ふるさとあおもり景観賞 民間建築部門最優秀賞にみちのく銀行むつ支店が選ばれました
    snow (04/25)
  • ジェフリー・バワ ジェットウイングラグーンホテル(5)ラグーンを見ながらディナー
    tp nakano (09/08)
  • ジェフリー・バワ ベントタビーチホテル(1)石の壁を進む考え抜かれたアプローチ
    tp nakano (06/01)
  • ル・コルビジェ カップマルタンの別荘
    りよう (05/13)
  • レム・コールハ-ス ディー&チャーリーズウイリーセンター
    Tom (09/24)
  • リカルド・レゴレッタ カミノ・レアル・メキシコ(1)
    山田俊彦 (09/14)
PROFILE

ページトップへ戻る