冨田秀雄の設計日記

家づくりへの想い、考え、そして私的な内容を綴ったブログです。
アルヴァ・アアルト パイオミのサナトリウム 明るい吹抜けの食堂
食事は、診療所の患者にとって最も楽しみにしている一つ。
この建物の一番容積として沢山とられた場所がこの吹抜けの食堂です。
大きな2層分のガラス窓からは朝の光がふんだんに採りこまれ、いつも明るい場所となっています。

外から見ますと、建物エントランスの左側のグリーン・オレンジのオーニングが付いた部分が食堂です。

今回改修工事中でしたので、吹抜けの上にあるくつろぎのスペースを見学しました。

左側が下の階の食堂と繋がるサッシ


色の照明もオリジナルに復元されています。
明るく、気持ちが楽しくなるような、カラーリング


一番奥にあるリビングスペース

こちらは、職員の為のダイニング




こちらは天井の空調
| 建築・設計について | 07:05 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルト パイオミのサナトリウム 優しい曲面の黄色い廊下
玄関に向かいます。
訪問客を迎えてくれるのは、ムーミンのような柔らかい有機的な形をした大庇です。マイレア邸にも同じような形の庇がありましたが、これは、アルヴァ・アアルトの好きな造形。優しく人を迎えます。また療養生活という患者さんにはちょっときつい感情を少しでも和らげようとする気持ちの現れかもしれません。




エントランスホールは曲面の造形と、優しく元気が出る黄色いカラーリング

受付カウンター、ブースも柔らかい曲面デザイン


細かいディテールも全て丸みを持たせています。
手が触れる部分も優しい。

階段と廊下は、床と天井がイエロー
その黄色い明るい色が光で反射して廊下や階段全てが明るい雰囲気で満たされます。真っ白な冷たい病院とは全く異なる、患者の気持ちを配慮したデザイン


階段の踊り場からは必ず外の美しい森の景色が望めます。



手すりもどこか愛らしい


患者さんが、移動する廊下や階段は、気持ちが入れ替わる大切な場所です。
その心の動きをどのような形や色で表現するのか。このパイオミのサナトリウムでアルヴァ・アアルトが用いたデザインやカラーコーディネートは、これからの建物にも十分参考になるものでした。
| 建築・設計について | 09:27 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルト パイオミのサナトリウム 管理部門の面白い造形
アルヴァ・アアルトのパイオミのサナトリウムとして紹介される外観は、玄関部分の扇形平面と、高層棟の患者診療室のところが多いのですが、管理部門の外観もアルヴァ・アアルトらしい手のひらを伸ばしたような平面計画が垣間見られ楽しいものとなっています。こちらは、曲線を用いたりしてより有機的かもしれません。

何と言いましても象徴的な煙突が目に飛び込んできます。
煙突の途中で煙突をぐるりと巻いているのは、受水槽
煙突の煙の熱を利用してお湯を作るというエコな考えから生まれた発想です。
煙突を支えている下の方の壁も円形





アルヴァ・アアルトが世界に認められる最初のモダニズム建築ですが、そこには機能主事に陥らないで、自然との融合、人間第一主事のアルヴァ・アアルトならではの考えが、随所に反映されています。

職員のための休憩所が入る棟のファサード
モダニズム建築


| 建築・設計について | 09:06 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルト パイオミのサナトリウム 松林に囲まれた患者重視の診療施設
フィンランドパイオミにあるサナトリウムは、アルヴァ・アアルトの設計による結核患者の為の療養施設として設計されました。1933年完成時には結核という病は恐ろしく、世界に蔓延していました。その患者を迎え入れ治療するのがこの建物の目的です。その後、結核患者は減り、今も病院として機能しています。
結核治療には綺麗な空気や、暖かい日の光が必要で、広大な松林の中に建てられています。
濃い緑の松林の中に見える白い建物群

訪れる患者を優しく迎え入れるような扇形のエントランス配置
右の高層の病室は視界に入らず、正面左の食堂棟の低い建物がまず目に入り、次に正面が見えてきます。全体が白いモダニズム建築なんですが、アアルトはそこに優しいオーニングや、有機的なエントランス庇を設け、建物の持つ硬さを取り除いています。


進みますと大きなエントランス前の広場に出てそこからエントランスへと向かう平面計画
大きな空が迎えてくれます。

右の高層棟もなかなかの迫力ですが、空が沢山みえるので圧迫感はありません。


高層病棟の端部にあるベランダのデザイン

そして高層病棟からは広い広場を介して松林が拡がります


白い建物の中に色鮮やかなオーニングを設け、建物外観端部には曲面を持たせることで建物に柔らかさを与えています。
最上階の庇の曲線美も注目です。


このパイオミのサナトリウムは北欧における機能主義のモダニズム建築の先駆的建築ですが、アルヴァ・アアルトの目線は常に患者の目線であり、いかに快適に療養生活がおくられるかを考えこまれた建築です。アルヴァ・アアルトの人柄が感じられる建物になっています。
| 建築・設計について | 10:37 | comments(0) | -
フィンランド ヘンリ-・エキュメニカル礼拝堂 三角の光が心をいやす 
ヘンリ―エキュメニカル礼拝堂の中へと進んでいきます。

木造のアーチが続いていく、内部
サイドからの光が正面の祭壇を柔らかく照らし出します。
トゥルクの復活礼拝堂でみた、横からの光の現代版。ただ復活礼拝堂は片側からの光でしたが、こちらは、ぐるりとスリット開口が廻ります。

連続する木集成材の構造美


シンプルで美しい祭壇


ガラスは模様が入る色ガラスです。



祭壇側からエントランス方向を見たもの

設計にあたっては、とにかく無駄なものを一切省いたものが要求されたそうです。
構造の美しい造形がそのまま内装になる。心が凛とする礼拝堂でした。
| 建築・設計について | 10:59 | comments(0) | -
トゥルク 聖ヘンリ・エキュメニカル礼拝堂 三角屋根の無駄をそぎ落としたシンプルな礼拝堂
トゥルク近郊にあるがん患者療養施設の敷地にコンペにより建設されたアート教会。設計者は、フィンランドの建築家マッティ・サナクセンアホ。
少し廻りの敷地よりも高くなったところに、舟底のような形の建物が現れます。

左のスロープをゆっくり昇っていき、エントランスへ。
建物の右側端の縦のラインの部分がガラスになっているのがわかります。

外壁は美しく施工された銅板。 職人技が光ります。

船底のように綺麗なカーブを描く外観です。

スロープを登りきりまして、振り返るとこのエントランスの面が見えます。
こちらの面は非常にシャープ

そして、対称形の建物のど真ん中の扉を開けます。

外の明るさで、目がなれないのですが、一番奥の壁が光に照らされて、建物外観そのものが表現された内部空間が優しく迎えてくれます。
感動の一瞬
| 建築・設計について | 11:28 | comments(0) | -
トゥルク市立図書館 美術館のような旧館エントランス
トウルクの図書館は旧館と新館がうまくつながって一つになっています。その旧館は、ルネサンス様式。まずは、いったん外に出て、正面から中に入ってみます。

新館とのつながり。外観

玄関を入って迎えるのは、アーチの開口部と円を描く階段


階段や、開口部には、職人技の有機的な木の造形が見られます。



書架の真ん中には、ドームもあります。
そこにも椅子が設けられ、優しい色に塗られた空間でくつろげます。




トップライトのあるドーム


旧館2階の書庫

旧館と新館のつなぎを表す平面案内図

新館と旧館の間の市民がくつろげるスペースが上手く外部と繋がっているのが、この平面からも読み取れます。
そして最後に新館の平面案内図。図書館が大きいので、このような案内図がところどころに置かれていました。

もう一度、落ち着く勉強スペース。勉強スペースでこれだけの天井高さの大空間をとっている図書館は、日本にはまだまだ少ないですね。

| 建築・設計について | 08:34 | comments(0) | -
トゥルク市立図書館 充実した勉強スペースと市民がくつろげるスペース
トゥルク市立図書館の2階から3階に上がる階段は、中が真っ赤。刺激的な色がついているのは、この階段だけです。やわらかい雰囲気の空間をつなぐ、目がさめるようなひとときを味わえます。

3階に上がると、そとの景色が迎えてくれます。そして反対側には図書館の大空間



よく見ていきますと、柱があるのですが、その柱が極めて細いのです。
その細さによって大きな図書館がドーンと意識の中に飛び込んできます。
垂直力のみを受ける柱。

奥に進みますと、静かな吹抜けがあり、たくさんの市民、学生が勉強していました。

天井から下がる美しいペンダント照明は、ポール・へニングセン設計のPHアーティチョーク。銅製の72枚のシェードから漏れる光が幻想的な美を感じさせてくれる優れた照明器具です。
大きなペンダントですが、これだけの高い天井の空間には見事にフィットしています。

1階に戻りまして、こちらは子供スペース。ここにも多くの本が並べられ、本を読むスペースも充実。子供の背丈を考慮し、また大人の視線が届くように、本棚も低く設定。

吹抜けからも眺められることで、安心感もあります。

ここからは旧館へ。新館と旧館を繋ぐ廊下は、外をみながら市民がくつろげるスペースになっています。


道路と反対側には川へと続く広場が設けられました。
| 建築・設計について | 09:37 | comments(0) | -
JKMMアーキテクト トゥルク市立図書館 明るく、開放的な図書館
JKMMアーキテクトが設計したこのトゥルク市立図書館は、とにかく空間が大きく、ゆとりが感じられて気持ちの良い図書館です。木が多用された内装に、綺麗な色の家具や照明が配置され
大きなガラス開口部からは、トゥルクの歴史ある街並みが飛び込んできます。いつも見慣れた街を見ながら、とても落ち着いた気持ちで本と向き合える空間がいくつも用意されていて、一日いても飽きない図書館ではないでしょうか。
1階と2階をつなぐ大きな吹き抜け空間。下の様子もうかがえて、見たい本の在処や自分の居場所がよくわかります。




大きなガラス開口部からは、トゥルクの歴史ある落ち着いた街並みが見え、どこか安心感が生まれます。



おかれている家具もきれいですし、インテリアも素晴らしい。


1階にあるコーナー。アクリの円形のソファーで読書も楽しい

おちらこちらに読書や勉強をするスペースが設けられています。

| 建築・設計について | 08:35 | comments(0) | -
フィンランド トゥルク市立図書館 街と川に融合するガラスと石の外観
フィンランドの人達は、読書好きで、図書館の充実度や利用率では世界のトップレベルです。フィンランドの第4の都市であるトゥルクにも1903年に完成した図書館がありますが、更に1997年のコンペにより、新しい図書館が旧図書館の隣に計画され、2007年に完成。今では多くの市民が使っています。
設計したのは、ヘルシンキの設計事務所でJKMMアーキテクト

トゥルクを流れる川や、街並みをいかに図書館へと融合させるかがコンペのポイントだったそうで、大きなガラスからは、街並みが内部に取り込まれていました。
さて、外部ですが、白い石とガラスによる大胆な構成

交差点のところがエントランスです。

奥に見えるのが旧図書館。いまでも現役

内部に入りますと、木を使った暖かいインテリアと北欧デザインの優れたセンスがうかがえます。

建物の中央には2階に上がる階段が、象徴的に付いています。
アスプルンドのストックホルム図書館を連想させる導入部




2階は天井が高い大きな吹抜け大空間
格子の天井、大きな開口部、細い柱。綺麗なインテリア

| 建築・設計について | 00:24 | comments(0) | -
エリック・ブリュッグマン トゥルクの街に残るブリュッグマンの建築
トゥルクの街にはエリック・ブリュッグマンの設計した建物がいくつか残ります。しかも現役で大切に使われていました。




1階のお店の名前がブリュッグマン


奥にある時計塔も同じブリュッグマンの設計
どこか復活礼拝堂に似てますよね。


相撲ゲームを楽しむ子供達

ほっとできる綺麗な街でした。
| 建築・設計について | 06:34 | comments(0) | -
トゥルク 聖十字架礼拝堂 棺を照らす天井の2つのトップライト

大きなフラットな天井の中に開けられた2つの四角い開口部。
一つのトップライトからの光は棺に当たる光が、もう一つのトップライトからは時間によって祭壇を照らす光が、採り込まれます。
祭壇はシンプルな四角い箱
そして床に開けられた穴からは、機械的に棺が昇ってきます。

参拝者側と、祭壇側を分ける厚い袖壁が空間を引き締めます。


亡くなった方を見送る、光だけが支配する静かな空間。


2階のパイプオルガンの奥の壁も長いスリット開口から間接光により照らされます。

天井の照明は集められスポット照明がいくつか配置。大きなフラット天井に対してその存在感をできるだけ無くしています。

外が見える開口部と反対側のハイサイドライトに照らされた壁

こちらは、バックヤードの控室上の光窓


ブリュッグマンの復活礼拝堂と違うかたちで、生と死を正面から捉えた素晴らしいペッカ・ピトゥカネンの聖十字架礼拝堂でした。
| 建築・設計について | 06:51 | comments(0) | -
ペッカ・ピトゥカネン 聖十字架礼拝堂 コンクリート打ち放しの清楚な礼拝堂
外部と内部をつなげる。これは建築の永遠のテーマなんですが、この聖十字架礼拝堂の玄関廻りのデザインもそんな内外が一つになった場を作り出していました。
温帯のアジアを除いては、冬の寒さがあるので、開口部にはどうしてもガラスという媒体が入りますが、何とかその存在感を消せば、繋がり感は増します。
さて、玄関廻り。

扉を開けて内部に入ります。内部も外と同じ、コンクリートの世界
左のコンクリートの壁の後ろはクロークとトイレになっています。

大きなガラス開口部から外のアプローチを見たところ。

水平、垂直の幾何学と美学。まさにモダニズム建築
開口部の細いスチール方立は十字架に

左の壁の上部は細いスリット開口

奥から礼拝堂へと入ります。

入った右手は、ハイサイドライトからの間接光が入る壁とベンチ

左を向きますと、大きな空間の中に視線が外へとダイレクトに繋がる大開口

そして、清楚な祭壇

その祭壇には天井に放たれた四角い開口部から光が注がれます。
静けさの中に光だけが、存在する。
四角いコンクリートの箱ですが、一切の装飾を省き、見事な光の操作により、奥行が感じられる礼拝堂となっています。
| 建築・設計について | 06:44 | comments(0) | -
ペッカ・ピトゥカネン 聖十字架礼拝堂 水平ラインの美しいコンクリート打ち放しモダニズム建築
トゥルクのブリュッグマンの復活礼拝堂と同じ墓地の中に建つもう一つの礼拝堂。ナショナルロマンチズムの復活礼拝堂に対してこちらはコンクリート打ち放しによる力強いモダニズム建築です。設計はペッカ・ピトゥカネン。1967年の完成
アスプルンドの森の墓地のような、十字架が、広い緑の芝生に象徴的に立っています。そのむこうには、水平方向を強調したコンクリート打ち放しの礼拝堂が見えます。


外からのアプローチは、幅の広い階段からスタート。

駐車場の緑で囲まれたピンコロの道を進むと、いきなり視界が開け、大きな芝生の広場が見え、その左手に十字架が立つという配置構成




右手には、長い庇が訪問者を迎えます。
この庇は、丸い列柱にコンクリートのスラブが載ったもので、片持ちのスラブ
水平ラインが伸びて、開口部からは、芝生の庭が拡がって見えます。

建物に沿って導くように設けられたコンクリート庇。
建物本体と離れて設けられていて、隙間からは光が入ります。

道はそのまま墓地の方まで伸びていきます。

そちら側からの見返し
装飾はいっさい省かれたコンクリート打ち放しの建物。
これはこれで、礼拝堂という建物にはピッタリです。

そして、礼拝堂へと入ります。
| 建築・設計について | 08:53 | comments(0) | -
森の中に静かにたたずむ トゥルクの復活礼拝堂 北欧ナショナルロマンチズム建築の傑作
見どころぼ多いトゥルクの復活礼拝堂でした。礼拝堂の椅子に掛け、正面の祭壇や大きな開口部から飛び込んでくる美しい緑の森を眺めておりますと、光の移ろいが風が感じられ、自然に心が癒されます。静かに心に訴えかける建築とはこのようなものだと思います。

2階から礼拝堂を見下ろします。

椅子が斜めに振られて、右の方向に向いているのがわかります。
壁は実は平面図を見ますと、僅かながら奥の祭壇に向かって台形のように、手前が広く、奥が狭くなっていて、意識がより祭壇方向に向かうようになっています。

壁と天井がひとつに繋がった造形も見事でした。
壁に設けられたわずかな段差が天井にいって天井に刷り込まれるようにひとつになります。


パイプオルガンを照らす天井からの照明

最後に外回りです。


神の領域を分ける門。礼拝堂側から外に出ます。


外から見た門。この道を真っ直ぐ森の方に向かうと墓地があります。

建物と大地の接点のディテール

エリック・ブリュッグマンの復活礼拝堂は、北欧のナショナルロマンチズム建築の代表とまで言われるものですが、確かにその意味がわかるような、人の心に残る素晴らしい建築でした。
| 建築・設計について | 08:48 | comments(0) | -
エリック・ブリュッグマン トゥルクの復活礼拝堂 優しい照明
祭壇に向かって左側にある通路への出入り口と倉庫です。
ここでも曲線を多用した徹底した柔らかさを追求したデザイン

アーチの開口部から入りますと、この廊下も柔らかい

見返りです。

廊下の奥にはトイレスペースと共に、ちょっと休める場が設けられ、外を見る大きな開口部がしつらえてあります。


外部からみるとこんな感じ

そして司祭の部屋です。

このトゥルクの復活礼拝堂には見るべきものが多いのですが、照明もその一つ。
建物を設計するのは、まずは大きな空間創りで、最後の最後に照明器具が付けられるわけですが、最後の宝石と言いますか、人で言いますと綺麗な服うを着て最後に更に輝きを増すために付けるイヤリングなどの装飾品と同じ。でもその照明が変なものですと、せっかく作りこんだ建築も台無しになるほど重要な要素なんですね。
大きな礼拝堂には天井からのペンダント。蝶のような形をした綺麗な照明でした。

こちらは、庭側の天井に着く照明で、天井を半円掘り抜いて、そこに間接的に光を当てています。

玄関部分は、太陽の照明

そのペンダント照明がある玄関部分から2階へと上がります。
| 建築・設計について | 11:20 | comments(0) | -
 トゥルクの礼拝堂 段差を付けた壁と白いパイプオルガン
今度は祭壇側から見返してみます。
入り口付近は石の壁、2階を支える手すり部分の壁は木、そして白いパイプオルガン。高いポツ窓からの光が、壁や椅子を照らします。

わずかな時間で光が移動していきます。


白い壁は、内部において少しずらしながら段差を設け、薄い影を作ります。
こうすることで、無意識の中で奥行感が生まれます。
それと、大きな壁を1枚とするより、このように段差を設け分節することで、スケール感を感じるのかもしれません。でも最初入ってきたときにはこの壁の段差は、ほとんど気が付きませんでした。



壁の段差がわかります。床の小さな穴は暖房の空調の為の開口

壁に薄く彫られたレリーフは、わずかな影で認識できます。主張しないさりげなく掘られた絵には、設計者の訪問者に対する、優しい心使いと、メッツセージが込められていると思います。

2階のパイプオルガン脇の大きな壁には縦スリット開口が放たれていて、パイプオルガンを裏から照らします。

これがその縦スリットの外観

外部の壁はまっすぐ。内部は、壁をふかして段差の壁としていることが解ります。

こちらは、反対側の外観

これが、横に大きく放たれた窓の部分。丸い柱から跳ね出しスラブで作られていることが解ります。
| 建築・設計について | 08:00 | comments(0) | -
 レインボーのガラスが入る祭壇 トゥルクの復活礼拝堂
祭壇とその後ろの壁一面に優しい光を採り入れるのは、天井一杯に開けられた開口部。そしてその中に組み込まれた2重のガラスです。ガラスは薄い色の付いたガラスでレインボーのようないろいろな色がまじりあい、優しい光となって祭壇に注ぎ込まれます。



その優しい光が祭壇後ろの壁の十字架を優しく照らします。
これだけの大きな開口部を細い枠で支えているので、枠の影は気になりません。トゥルクの復活礼拝堂が、ブリュッグマンの最高傑作と呼ばれる所以の一つがこの大きな開口部ですね。

大開口部の反対側の壁にはキャンドル台がストレートに十字架の方に向かって並びます。
しかもキャンドルは、壁に取り付いているのではなく、一段低い天井裏から跳ね出すように設置されています。大切な壁に余計な影を作らないということでしょうか。

天井部分の祭壇の領域を分けるアールの壁。壁と天井の境が無く、ひとつながりになります。

外観はこのようにシンプルです。森の中にひっそりと佇む。



再び中に

祭壇脇の出入り口は四角い箱がガラスに貫入するデザインです。

そして足もとの床段差を解消する階段は流動的なデザインとなっています。

| 建築・設計について | 11:03 | comments(0) | -
エリック・ブリュッグマン トゥルクの礼拝堂 訪問者を優しく包み込む礼拝堂
エリック・ブリュッグマンのトゥルクの復活礼拝堂は、訪れた人の悲しみを優しく包み込んでくれる空間でした。その感じはどこからくるのか?非対称な平面プラン、丸みを持つ角が無いディテール、光の入り方、緑の森へと視線が抜ける開口部のとりかた、ふと悲しみから顔を上げた時に見える壁に彫られたレリーフ等々数え上げるときりがありませんが、まずは中に。
大きな銅の扉を開けますと、風除け室があります。そしてその先が礼拝堂。
この礼拝堂に入るガラスの扉には、有機的な植物柄の模様がデザインされていました。


この風除け室の照明も優しい太陽のような形をした素敵なシーリングライトです。

外から続く石の床は、この風除室(前室)を超えて、礼拝堂の入口まで伸び、そこから先は、ベージュ色の大理石の石に変わります。

正面に半円の壁を切り抜いたその先に祭壇が見え、その一番奥の壁全体が横からの優しい光が照らしだします。うーん、感動

正面の壁に対して、光の祭壇は、右に寄り、そちらの方向に視線がいくように意図されたデザイン。
祭壇に向かって並ぶ椅子は光る祭壇壁に向かって斜めに振られています。

右側は天井が低くなる側廊で、天井一杯のガラス壁からは、美しく、深い森が見えます。

森を室内に取り込むガラス開口部には柱が全くありません。この部分は屋根が、柱から跳ね出している片持ちスラブとなっています。この開放感は、そんな構造設計から生まれています。

椅子に座り、悲しみからふと顔をあげたときに見える奥の深い美しい森。自然の持つ力は大きく、心が穏やかになります。

礼拝堂の天井は、まゆのような楕円形の天井

高い礼拝堂の上部の壁には四角い窓が開けられています。そこからの光は、礼拝堂の奥まで届きます。

| 建築・設計について | 10:53 | comments(0) | -
フィンランド建築家エリック・ブリュッグマン トゥルクの復活礼拝堂 入口へと誘う石の階段アプローチ
今回の北欧の旅で最も感動した建物がこのトゥルクの復活礼拝堂です。写真で振り返りながら、もう一度その建築のすばらしさを想い出してみたいと思います。
設計はエリック・ブリュッグマン。1941年の完成。今から75年前の建物。戦争で親友を亡くし、その深い悲しみを乗り越え、設計したというこの礼拝堂。辛さを体感し、その想いを祈りに変えて設計したのでしょう。建物全体に人の気持ちに訴える優しさや勇気といった感情が伝わる建物でした。
まずは外観で、正面玄関に真っ直ぐ至るアプローチからスタートです。


正面に礼拝堂の入口ポーチ。そして右手に鐘塔
綺麗なーと思ったのは、正面玄関に至る石の階段です。
シンメトリーではなくて、左から植栽が階段に伸びていき流れを作っています。
日本庭園のような流れを感じる階段でした。


スロープに近い低い階段

正面のポーチへ

ポーチ左側の壁に彫られたレリーフ

そしてその上の十字架

ポーチから鐘塔を見ます。


正面の銅板の玄関扉です。

自然の森に囲まれ、静寂の中で、この建物に向かい合うと、何だか心が安らぎます。
明日のブログは、素晴らしい内部を振り返ります。
| 建築・設計について | 00:20 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルトの初期のモダニズム建築 トゥルクのトゥルン・サルマト新聞社
アアルト初期の建物で、新古典主義の建築からモダニズム建築へと作風が転じたのは、このトゥルン・サルマト新聞社からと言われています。
街に面するファサードは、白い箱に横連窓のサッシ。そして玄関回りの階段部のガラス開口部が特徴です。大きな壁面には、道路の反対側から映写装置で壁をスクリーンにして映像を街の人に見せるというような事も考えられていました。


そして、やはりアルヴァ・アアルトが只者では無いと思わせるのが階段室
正面ファサードの扉を開けますと、まっすぐに伸びるきれいな階段が現れます。


階段の途中にも事務所に入る扉が右に見えます。
そして、最初のフロアー

さらに向きを変えて昇っていきます。



階段を半分上がったところに、大きなガラス開口部があり、ここから階段は二手に分かれ、真っ直ぐ昇る方と折り返して昇る方に分かれます。


踊り場が面白い

階段の駒かな部分ですが、踏面の斜めラインのタイルといい、巾木のアール面といい、ドキッとするデザインです。


今でも現役でバリバリに使われているモダニズム建築。
やっぱり、気合が入った建物は大切にしないと。というか簡単に機能が古くなったからと言って壊されるのではなく、街の人に愛され、使われ続けている建築ってうらやましいです。
| 建築・設計について | 19:03 | comments(0) | -
マイレア邸 暮らしを楽しむ住まい
家は、ただ住むのでは無く、人生を楽しむための空間です。住まいによってその人の人生はがらりと変わります。毎日の忙しい中で、ふと気を緩める場所であり、人生をもっと楽しめる場所でもあるわけで、いろいろなシーンができればできるほど、その家は豊かになるわけです。そういう意味からもマイレア邸には遊び心がある生活を豊かにする家なんです。
外では、夏の間アウトドアダイニングで食事をし、暖炉の火を見ながらお酒を飲み、サウナに入ってプールに飛び込み、好きな事をしてすごす。豊かでしょう。



サウナ小屋の前にはブランコ

さて、内部は写真が撮れないので、アルヴァ・アアルト美術館の展示から








ということで、マイレア邸がこれほど注目を浴びる理由がわかります。


| 建築・設計について | 09:27 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルトの住宅 マイレア邸 ムーミンを連想させるおおきな玄関庇
模型でも特徴的な玄関の庇。
モダンな建物から大きく飛び出した雲のような形をした庇がとても印象的です。



このムーミンのような有機的な庇は、屋根が2段になっていて、その2段の屋根の隙間から光が入るように考えられています。これだけ大きく奥が深いのですが、奥の部分もそのため明るい。よく考えてます。
庇を受ける柱がまた面白い。敷地の廻りに立つ松に合わせるかのように何本かの柱が一塊になって庇を支えます。


廻りの風景と溶け込んでいるでしょう。




そして足もとには花が植えられていました。
| 建築・設計について | 08:36 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルトの住宅 マイレア邸 アアルト美術館の模型から
マイレア邸は、内部写真が撮れないということで残念でした。しかし、外部も素晴らしい。マイレア邸の模型がアルヴァ・アアルト美術館で展示されていたのでその写真を。

上から見ると、中庭をL字で囲い込んだ配置がわかります。プールの形状や、屋上手すりの形状など、アルヴァ・アアルトの曲線を用いた有機的デザインが現れています。


玄関側です。四角い本体からアアルトカーブの玄関庇が、突如取り付いています。完全な四角いモダン建築から一歩抜き出た北欧モダン。北欧の木をはじめとした有機的な自然形態を建物デザインに持ち込んでいます。

アルヴァ・アアルトが描いた絵。その建築思想を表したもの。アアルトカーブ。良く見ますとムーミンの形にも似ている。

そしてアルヴァ・アアルト美術館のマイレア邸の展示パネルはこんな感じでした。



| 建築・設計について | 01:10 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルト初期の傑作住宅 マイレア邸 北欧モダン建築
1939年完成 アルヴァ・アアルト41歳の時の建築で初期アアルトの代表作とも言える住宅です。フィンランドノールマルクという場所に建ちます。アルヴァ・アアルトの良き理解者であったグリクセン夫婦の住宅で、アルヴァ・アアルトに対して、好きなように設計してくださいと言ったそうです。それに見事に答えたマイレア邸。見応えがある住宅でした。
周囲は松林で少し小高くなった場所にL字プランのその建物はありました。


松林の間から白い建物が見えた時、結構感動

近寄ると更に感動。やっぱり他の住宅建築とは違うオーラのようなものが感じられます。

白い外壁と木を貼った外壁。そのバランスや水平方向のプロポーションから豪華なクルーザーヨットを連想させます。うーんこれが今から77年前の建築とは。
木の部分はリビングルームなんですが、地面との設置する部分は基壇とも見える黒い石貼りで、少しへこんで影になり全体が浮いているような感じ。サッシは木製サッシで大きな引き戸です。外にブラインドが付いていて、それを固定しるスチールの棒が横に並びます。

ぐるりと廻りこみますと、中庭が現れます。
中庭を囲むような建物配置



そしてその先は、サウナ小屋とプールです。

白い壁と木の美しくメンテされた壁、そしてバルコニー。建築要素もふんだんで仕上げもいろいろありますが、それが見事に繋がっています。
| 建築・設計について | 00:13 | comments(0) | -
インテリア先進国フィンランドのドライブインABCの傘の照明
やはり冬の寒さ、そして暗さから人間らしい暖かさを得るためには、インテリアが非常に重要で、北欧の室内は、みなそれぞれに考えられています。
ドライブインに入ったABCでも、なかなかのインテリアでした。




照明も素敵です。

こちらの照明は、ビニール傘を用いた照明
なかなかのアイデアではないですか
| 建築・設計について | 16:41 | comments(0) | -
フィンランド建築家ピエティラ夫婦設計のカレヴァ教会 30mの吹抜け礼拝堂 
タンペレの街にあるもう一つの有名な教会がこのカレヴァ教会。1966年の竣工で設計はピエティラ夫婦によるもので、オーロラのような形態の縦を強調した建築です。

壁がそのままそそり立ち、壁と壁の間にはスリットの開口部。そこから光が礼拝堂の中に入ります。



玄関

内部はコンクリート打ち放しの壁ですが何と、打継がありません。
垂直の壁が立ち上がり、そのまま30mを超える天井まで伸びていきます。


| 建築・設計について | 19:36 | comments(0) | -
タンペレの大聖堂 美しい階段と2000人収容の大聖堂
さて2階に上がる階段です。
美しい色彩を施された階段で、照明も綺麗。手すりのスチール造作もなかなかいけてます。




そしてこれが別の階段


そして2000人収容の大聖堂の2階です。
正面祭壇方向

後ろのパイプオルガンのある聖歌隊の方向


神からの使者である蛇を模った天井からは、ペンダント照明が下りています。

大きな円形開口部のステンドグラス

滞在時間は少なかったものの、なかなか見応えのある大聖堂でした。


| 建築・設計について | 00:14 | comments(0) | -
フィンランド タンペレ大聖堂 神の世界と人の世界を分ける石の塀

タンペレの大聖堂の周りには石の塀が廻っていて、この塀の中が一つの神の領域となります。
日本の鳥居もそうなんですが、遠く離れた地においても何だか考え方は同じなんですね。塀の石は丸い石です。これは外の世界に対して優しさを表現したものかもしれません。

6か所の内の一つの入り口。外の塀の石は丸く、大聖堂の外壁は四角く石を加工して積んでいます。明らかに領域を意識させます。

石の塀の中の中間領域

聖堂を囲む石の塀の中に入口を示す三角屋根がありそこが公園側からの入り口。

そして聖堂正面のアーチの門から中にはいります。

その門をくぐると正面には石の壁で縁取られた入口が姿を見せます。

この入口扉回りの石の装飾壁は見事。左右対称の屋根の架かる塊とその左右の小窓。その小窓の下の流れるような局面水切の壁面。そして見上げると大きな丸いステンドグラスの入った窓。圧倒されます。


振り返った塀に設けられた門型入口。神の世界と人の世界を分ける門です。


中に入りますと、丁度ミサが行われていました。

側廊の部分も広い。最大2000人を収容できる大聖堂です。
2階の床や屋根を支える柱は太く、安定感安心感を感じさせる造形がなされています。
| 建築・設計について | 09:49 | comments(0) | -
フィンランド建築家 ラルス・ソンクの最高傑作 タンペレ大聖堂 お城のような教会
フィンランド第3の都市タンペレという街にあるタンペレ大聖堂。フィンランド建築家ラルス・ソンクの設計で、1902年の完成。1900年代初期に起こった、ナショナルロマン主義の建築。汎ヨーロッパ的な意味合いの古典主義に対してフィンランドという国が持つ特徴を建物にも表現しようとしました。で、外観は、どこか中世のお城かと思うような分節された大きなボリュームと、それをまとめるような高い塔。そして、赤い瓦屋根。外壁は、大きな国産の花崗岩を用いています。
前の公園からみても、ぐるりと廻って見ても、裏表の無いその存在感は圧倒的。
光の陰影がしっかりと面に現れ、どの面を見ても絵になる外観です。

快晴に恵まれ、青い空に自然素材の建物が映えます。
それにしても、いろいろな屋根や塔が付いていて、しかもそれがプロポーション良く接合していて美しい。
ラルス・ソンクの最高傑作であることは間違いありません。

大きな丸い開口は、教会のメインのステンドガラス。

鐘がなる尖頭の屋根に横に入った細いスリットもまた良いじゃないですか。


影もまた美しい。感動しました。
| 建築・設計について | 00:35 | comments(0) | -
アルヴァ・アアルト ユヴァスキュラのコンサートホール 光が注ぎ込む明るいホワイエ
1階から2階のホワイエへと向かいます。
いつものようにアルヴァ・アアルトがこだわる階段を昇ります。





大きなコンサートホールホワイエ
そして壁面には光を一杯採り入れる大きな開口部。
日本ではあまり考えられない庇もない南向きの大きな窓。たっぷりと光が奥まで注ぎ込みます。
北欧の光は低く、しかもクリアー。
青い空が白い壁に反射して、ホワイエを包みます。


流れるような曲面の壁。丸い柱を巻いた円筒タイル。そして木のチェアー
大きな開口部 天井のライン
大変大きなゆとりあるコンサートホール。へたをしますと、空間が退屈なものになりがちですが、天井や、壁面に変化をつけながらもやり過ぎず、しっくり落ち着いたものになっています。


ポスターの展示壁面は、色とりどりで美しい壁となっていました。
建物自体は白い空間なので、色が映えます。



そしてコンサートホールです。
舞台周辺がダークブルーに塗られ、視線が舞台に集中するように仕掛けられています。
アルヴァ・アアルトデザインの吸音板、斜めに流れる木板デザイン。そして座り心地の良い客席。暖かみを感じるインテリアです。


今でもアルヴァ・アアルトの設計した建物が市民から大切につかわれているユヴァスキュラの街でした。
| 建築・設計について | 07:35 | comments(0) | -
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