冨田秀雄の設計日記

家づくりへの想い、考え、そして私的な内容を綴ったブログです。
日本綿業倶楽部(綿業会館)イタリアルネサンス調2層吹抜けエントランスホール
まず、ガラス扉を開きますと、この2層吹抜けのエントランスホールが訪問者を出迎えます。正面には日本綿業の発展を願い、この会館の創設を遺言として残した岡常夫氏の銅像が座り、背後には2階に上がる階段が対称形に設けられ、厚い石の壁とアーチの開口部でデザインされた側廊がぐるりと囲むという構成です。天井は、格間天井のような格式ある天井。壁は大理石。そして床も石。そこに分厚いカーペットが敷かれています。天井からは美しいシャンデリア照明が下がり、壁のブラケット照明と相まって豪華でありながら落ち着きのある威厳を感じる日本綿業倶楽部の顔となるホールとなっています。ホールの大きさも大きすぎず、小さくも感じないベストスケール。

階段が手前から半分上がり、折り返して向こう側から2階に上がります。
2階は廊下がぐるりと廻りこみ、丁度真ん中にはその先へと進む開口部が空けられています。こうした奥行を感じる設計操作により、扁平で退屈な吹抜けにはならず、動きのある吹抜けとなっているわけです。

アーチ開口の外は、側廊。分厚い壁のアーチがリズミカルに続きます。




アーチの向こうのガラス開口部にはタペストリーのガラスが。

| 建築・設計について | 07:51 | comments(0) | -
大阪の宝 日本綿業倶楽部(綿業会館)重要文化財を見学する
以前大阪をぐるっと廻った時にこの綿業会館の外観をみましたが、見学を申し込んで、中を見てきました。建物は戦前の昭和6年の建設で設計者は渡辺節。村野藤吾がチーフドラフトマンとして設計した建物でもあります。大阪城の天守閣と同年の竣工ですがその大阪城をはるかに上回る建設費をかけた綿業界のメンツをかけた建物。戦争では回りの建物がすべて燃え去る中、その強固さもあり奇跡的に残りました。外観は、1階部分を石の基壇とした上に煉瓦タイルの重厚感漂う外壁

綿業会館の前の道路にはガス灯も復元




玄関部分は特に威厳が感じられます。庇と3枚の開口部。ガラスの開口部からは奥のシャンデリアの光がもれてきて、華麗さを漂わせています。


扉を開けますと、まずは風除け室に。
その先の階段数段上に、ガラスの扉が待ち構えます。

綺麗なアイアンワークの施されたガラスの扉



振り返り、風除け室を見ます


そして、大きな吹抜けになっているメインの玄関ホールです。
| 建築・設計について | 07:27 | comments(0) | -
京都嵐山MITATE 芸術的な創作料理
京都嵐山にあるMITATEは京料理とフレンチの融合した創作料理を楽しめるお店です。構えもそこから玄関に至る路地も京都ぽい。
手入れの行き届いたお庭を見ながら玄関へ。



昔ながらの引き戸をあけて、玄関から2階へ。
景色はいかにも嵐山の風景

瓦屋根が美しい

さてさて、私のブログでは料理はあまり載せませんが、今回は、その演出と美しさに感動しましたので、ちょいと御覧下さい。
風呂敷を開けると、中には漆の箱。そのふたを開けると、美しいお料理



お皿の上で色が変わり、2度色彩を楽しめる仕掛けのある演出


色鮮やかな料理の数々



デザートもこんな期待感を持たせるしつらえ


見て楽しみ、触って楽しみ、味わって楽しむ。いろいろな5感を刺激する創作料理でした。動きのある参加型の料理とでも言うのでしょうか。食もここまできたんだなー。
1階には中庭を介した客室もあります。是非一度
| 建築・設計について | 06:47 | comments(0) | -
星野リゾート奥入瀬渓谷ホテル 和室を和モダンの洋室に改装した客室
多くの昔からのホテルでは、和室の客室が主流でしたは、今の流れはどうしても洋室。ここ星野リゾート奥入瀬渓谷ホテルの客室も和室を見事に和モダンの洋室にリフォームしていました。やはり、都会のシティーホテルではないのですから、どこかホッとできる客室が良いじゃないですか。そこで完全な洋室としないで、和を感じさせる落ち着いた和モダンに改修する。これは、元の部屋が和室だからこそ、よりいい方向にリフォームできる可能性があるのですね。


昔の床の間を利用した飾り棚


床は千鳥の畳カーペット
| 建築・設計について | 07:56 | comments(0) | -
青森のリンゴをコンセプトとしたダイニング ブナコの照明が活きる青森リンゴキッチン バイキング料理
奥入瀬渓谷ホテルは、本館や別館もありかなり大規模なホテルです。これだけの客数の食事を従業員の人件費を考慮しながらどうやってさばくかは、かなり重要な課題。ここでは、青森のリンゴをキーワードに、リンゴを用いたオリジナルな料理を考案。しかも人件費を考慮したバイキング形式を採り入れています。バイキングと言えば、見た目は良いのですが、なかなか中身が伴わないところも多いのですが、さすがに良く考えられていて、そこはデザインとセンスで見事な解決方法を示してくれます。
エントランス部分のリンゴをモチーフにしたデザインが目を引きます。

待合ホール




壁のブラケット照明は、青森弘前の家具・照明器具を扱うブナコのオリジナル照明

格子で囲まれた明るいスペースは食事が美しく並べられたゾーンで、その格子の後ろが庭に面したダイニングスペース
メリハリの効いたデザイン




このスペースに天井から吊られたペンダント照明もリンゴをモチーフとしてデザインされたブナコのオリジナル照明です。

しっかりしたデザインコンセプトが貫き通された見事なダイニングでした。勿論食事の味も良かったです。
| 建築・設計について | 08:03 | comments(0) | -
高い天井のエントランスロビーに下げられたシャンデリア 星野リゾート奥入瀬渓谷ホテル
切妻屋根の形がそのまま天井の形と表現されている舟底天井。これが2層吹抜けの大空間になりますと、そこを照らす照明をどうするか?は結構考えます。一つは勾配屋根にスポット照明。それかいくつかの軽いペンダント照明を浮いているようにいくつか吊るす。それか、存在感のあるシャンデリア的照明を吊るす。奥入瀬渓谷ホテルでは自然の中の小屋的デザインにマッチしたシャンデリアを用いていました。


奥入瀬渓谷を散歩するには、やはり早朝がベスト。
鳥の声を聞きながら澄んだ空気の中を歩きますと、身体の中から清められるような気持ちになります。





| 建築・設計について | 20:39 | comments(0) | -
岡本太郎遺作「河神」暖炉 星野リゾート奥入瀬渓谷ホテル
星野リゾート奥入瀬渓谷ホテルには岡本太郎作の暖炉がもう一つあります。河神と名付けられた暖炉は、岡本太郎の遺作とされます。ラウンジの「森の神」が男性をこの「河神」が女性を象徴すると言われます。こちらは、別館のロビーに設置されています。このロビーの天井も木でかなり凝った造り。






岡本太郎のサイン

こちらのラウンジからの景色も心なごみます。
| 建築・設計について | 09:46 | comments(0) | -
岡本太郎作「森の神話」の大きな暖炉 星野リゾート奥入瀬渓谷ホテル
大きな暖炉を見に星野リゾート奥入瀬渓谷ホテルに行きました。奥入瀬渓谷ホテル建設時のオーナーと岡本太郎が交友関係にあり、ホテルのメインラウンジに大きな暖炉を設け、その暖炉の煙突そのものを岡本太郎がデザインしました。奥入瀬の自然の中で鳥の神の元、人や動物、生き物が気持ち良く踊る姿を描いた大作。
暖炉は、やはりこのような自然の中にあるホテルにはピッタリです。ではその暖炉をどのように配置し、デザインするかとなると、なかなか悩むところ。その一つの解答がこのホテルの暖炉です。しかし、これは迫力がありました。
十和田湖から続く奥入瀬渓谷の終点あたりにこのホテルはあります。

大きな吹き抜けロビーの先に緑が見え、煙突が見えます。

豊かな緑を大きく取り込むガラスの大開口。そして岡本太郎作の迫力ある暖炉





天井からのシャンデリア

夜は暖炉がライトアップされて、岡本太郎の芸術「森の神話」が浮かび上がります。

外には、河童。これも岡本太郎の作品

奥入瀬川のせせらぎを聞きながらゆっくりとした時間を持つことができます。
| 建築・設計について | 08:56 | comments(0) | -
十和田神社 竜神の息づかいを感じる重厚感漂う神社
十和田湖の湖畔にある十和田神社に立ち寄りました。
大きく空に開かれた十和田湖を見ながら進みますと、ここだけ空気が変わるうっそうとした森の中にはいります。鳥居が見え、階段を上がると、その本殿が姿を見せてくれます。階段の方向に対して正面ではなく、斜めに構えた配置
奥行が感じられます。



青森下北の恐山と並ぶ2大霊場として栄えてきたこの神社
もともとは水の神様青龍大権現を祀ってきましたが、いまは日本武尊を祀っています。いずれにせよ、水の神々がおられる場所であると感じました。


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青森県津軽富士見湖に架かる日本一長い木造の橋 鶴の舞橋
木の文化である日本には、沢山の木造建築がありますが、土木の分野においても木造はちょっと前までは主流だったわけです。日本人の心のDNAに木はしっかりと刻まれているので、木造の橋に出会いますと、何となく懐かしい感じがして親しみが湧いてきます。青森の津軽にあるこの鶴の舞橋。最近のTVコマーシャルで吉永小百合の後ろに写っていた橋です。今年の青森県景観賞も取っています。
池は、人工湖で遠く岩木山を美しく映し出すことから津軽富士見湖とも呼ばれています。とても静かな水面に浮かぶ木のアーチの橋の美しさにしばらく見とれていました。






3ちのアーチの橋で構成された全長300mの渡りがいがある橋



| 建築・設計について | 06:16 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 大きく跳ね出した屋根と黒石の雨落ち
庭からみた杉浦邸の外観です。大きく跳ね出した庇は、白井晟一の住宅に見られるもので、そのプロポーションもまさに白井作品。
そして、雨樋はなく、そのまま雨は庭に落ちます。雨が落ちる雨落ち部分には黒い那智石が敷かれています。雨の落ちる音が心地良いでしょうね。これだけ庇がでているのは、一つの理由として室内の床の高さがあります。床を低くして、室内が庭と連続する空間をつくりだしているからです。1200mmはあると思いますが、これだけ出すと、雨も心配ありませんよね。
庭から寝室・和室方向を見ます。


リビングと客室方向を見ます。


丁度折れた部分が、リビングのくの字の開口部

コーナーリビング前の雨落ち部分

縁石のディテール



壁と床の取り合いです。
壁が床まで下がってきて、そこに通気スリットが入っています。

屋根の部分のスリット

基礎は石


最後に道路側の塀です。
瓦が載り、塀に趣をもたらします。

この白井晟一の幻の住宅杉浦邸もついに取り壊されました。
ここには数件の建売が建つそうです。景観も安っぽいものに変わります。
相続の関係もあり、住手だけではどうにもならない問題ですが、住宅トラストや区役所を巻き込んだ保存ができなかったのか。壊した建物は2度と同じものはできません。白井晟一が設計した杉浦邸も間違いなく後世に伝えるべき建物でした。残念です。
| 建築・設計について | 10:57 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 景色を切り取る2階の窓
少し高台に建つ杉浦邸の2階からの景色はいかなるものか
窓の下に付く手すりのデザインが良いです。四角い窓にシンプルながらインパクトのある手すり

内部から見ると想像以上に景色が良いのです。
四角い開口部から見える緑一杯の庭。


広い芝生と沢山の緑で囲まれた庭を見下ろすことができます。

屋根は美しい銅板葺き。ここから見ても屋根の美しさはずば抜けています。

書斎の椅子も机も大切に使われていたのが解る、想い出が詰まったような感じです。
| 建築・設計について | 08:36 | comments(0) | -
白井晟一 練馬の住宅杉浦邸 外部と内部の床が連続する開口部
kw最初は昨日の続きの階段の図面
非常に昇りやすい階段でした。


階段はホールと呼ばれる床の仕様が違うスペースにあります。

その階段ホールの脇の廊下を進むと大きな和室があります。
リビング、階段ホール、廊下、和室の関係はこの図面で。

廊下から襖を開けて入った和室。その和室から廊下を見返したもの
右が庭が見える開口部

建築家白井晟一が設計した住宅の床と外部空間との関係を見事に表している開口部。白井晟一は、外部と内部をスムーズにつながるように、外部の床のレベルと室内の床のレベルをできる限り同じレベルになるように工夫を重ねています。
この杉浦邸においても、室内と外部の段差はできる限りとらない。
床がそのまま外部に流れるように工夫しています。

その開口部にはガラスサッシ、障子、網戸、簾戸が入り、壁に収納されます。



和室には力強い床の間も


| 建築・設計について | 19:59 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 魅力的で職人技の効いた階段
階段もまた素晴らしいこだわりの階段でした。
手すりが凄い





階段の一段一段が際立つ美しい納まり。



横から見ます。
階段室になっていて、光は下の廊下に降りてきます。


動きのあるカーブもうれしい。

| 建築・設計について | 20:09 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 大きな庇が出た、居心地良い落ち着いたリビング
リビング・ダイニングです。
大きな窓は、くの字になり、より庭に近づくように配置されています。室内の壁は、暗いダークグレーのクロス。やはり、この空間は白井晟一ワールド。開口部は明るいのですが、内部は非常に落ち着いています。ソファーに座ると、重心がドンと大地に近づく感じ。扉は、天井までの木のパネルの中に同一面の扉が入るスタイルです。配置された椅子やソファーも白井晟一が選んだオリジナルの家具。リビングから外を見た時、右の壁には床の間のようなしつらえが施されています。大きなくの字の大開口は、壁に引き込まれます。開口部には普段は、障子が入りますが、サッシの上と下は抜けていて、真ん中が障子というスタイル。これは、隣地からの視線を気にされたオーナーの奥様からの要望があったということです。
ダイニング側。右がくの字の開口部

大きな庇が出ているので、夏の強烈な日差しも遮ります。
くの字のサッシからは庭が大きくとりこまれ、開放的

屋根には樋が無いので、雨がそのまま庭に落ちますが、雨音が床の石に当たり、その風情も楽しめたということです。

ソファーび座って開口部を全開にした状態。
いつまでも座っていたくなるような居心地の良い場所です。

サッシは特注のアルミサッシ
大きな空間を支えているので、この柱の中は鉄骨です。

開口部には通常は、真ん中に障子が入ります。

下の障子は、視線の問題から後から付けられたもの
ソファーの右には床の間のようなしつらえの壁


ソファーの後ろの壁

そしてダイニング


リビングダイニングの直角でない開いたコーナーに付く木製建具のコーナー部分は、曲面の仕様となっています。ゆるやかに全体として繋がる空間としてとらえていたと思います。


リビング・ダイニングの展開図


| 建築・設計について | 12:06 | comments(0) | -
白井晟一の住宅 杉浦邸和室 庭を取り込むコーナーサッシ
和室の方へと進みます。

まず前室があり、その向こう側に和室。
和室のコーナーは、柱を残して引き込まれるサッシがついていて、そとの庭の景色が良く見えるように工夫されています。
コーナーサッシの高さは、低く床から1500mm程度。
丁度、畳に座った時にその開口部が丁度良いしっくりした高さに感じられるように設計されています。



サッシコーナー部分

照明器具も白井晟一

ぐるっと和室を見渡してみます。

前室と玄関方向を見る

収納と床の間



床板は、畳床です。

展開図です。

| 建築・設計について | 09:24 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 2方向に分かれる結界としての玄関 
杉浦邸玄関も非常に重要な場所です。やはりここで、一旦内部には入るけれども、まだ完全なプライベートスペースではない、一つの緩衝帯のような場所でした。沢山の見学者がおられたので、ゆっくり見れませんでしたが、改めて写真で振り返ると凄い空間です。杉浦邸の玄関扉はまず、外部と内部の結界。ここで、床の石の仕様が変わります。重厚な御影石から黒い玄昌石へ。


玄関扉の右側には、エントランスアプローチから見えた横格子の入ったあかり採りの窓があります。障子が入り、柔らかい光をこの玄関ホールにもたらします。

あかり採りの窓の上には天井から吊られたろうそく台のような照明が付きます。
天井の仕上げも面白い

正面には、上がり框
床が出ていまして、その向こうに壁。先が見えません。ここが居住者の出入り口で、折れ曲がって進みますとリビングになります。
照明そして床の間のような象徴的な柱のある壁

内部ではない外部と連続したようなしつらえ。

左を見ますと、もうひとつ別の上りがあります。
その框板の左は、下足収納。その収納のさらに左はトイレの扉です。
これだけの小さな玄関スペースに設計者白井晟一の設計魂を見たような気がします。

奥のお茶室からの光が見えて、遠近感が感じられます。
天井から縦格子が壁の脇に付けられていて、空間に奥行きを生み出しています。
下足収納の上の壁に付く照明は、シンメトリーで、この場の強さを主張しています。

そしてこれが、茶室方向に上がる框板。ちょうな仕上げの1枚板です。
やはり、ここから先は、日常の生活とは異なる特別な空間であることを表しています。

床と壁と仕上げ材との取り合いも見事です。

杉浦邸の1階平面図です。右下が玄関です。玄関を入りますと、図面上のリビングに入るのに、小さな前室空間を設けています。この前室のために、玄関からリビングは壁に隠れて見えません。いきなりプライベートな空間に入るのではなく、玄関ホールそして小さな前室を抜けて初めてプライベートな部分に至る。神社でもそうですが、日本の伝統的な建物を見ますとと、いくつかの結界を経て、本棟にはいりますが、その住宅版とでも言うのでしょうか。
玄関左の茶室に至るルートも同じように、いくつかの結界の先に茶室があるように設計されています。
やはり、このあたりの考え方が肝ですかね。
| 建築・設計について | 07:48 | comments(0) | -
白井晟一 杉浦邸 玄関アプローチは静なる空間
建築家白井晟一が設計した建物は、独特の存在感と静けさを携えた建築が多く、一度その空間を体感しますと、他の建築とは全く異次元の空気が感じられます。しかしながら、その自邸や、銀座親和銀行などの名作がこの世から姿を消し、建築界にとって貴重な白井作品が少なくなってしましました。今回の杉浦邸もそのひとつ。私は犬の散歩をしていますが、近所の面白い建物の前を通るコースをいつも探していて、この杉浦邸の前をゆっくり歩くのが好きでした。つい最近までこの住宅が白井晟一設計とは知らなかったのですが、他の建物とは違う風格を感じ、散歩の中では最も好きな建物でした。雑誌にも公開されていない杉浦邸が解体されるのを機に見学会が催され、参加しました。
まずは、この建物の大きな特徴でもある屋根そして大きくはね出した軒が目に付きます。屋根は1200mmぐらいは壁から跳ね出していまして、棟には瓦が載り、屋根自体は金属屋根となっています。
玄関は、駐車場の屋根と本棟の屋根が重なる部分に塀をくり抜いたように設けられました。
左が駐車場の壁。瓦の載った塀に沿ってこのアプローチを進みます。
道路からの境の床は厚い御影石。その御影石の階段が2段。さらに石の床は奥へと人を誘導します。

屋根は、入り口部分から斜めにアプローチ上部に架けられています。

リズミカルな和を感じる石の床。

両側の壁に挟まれ正面の一文字が書かれた札を見ながら進みます。
重なり合う屋根が美しい。繊細で細い線でもなく、民家的な太い線でもない力を感じる屋根のライン

駐車場の壁が無くなり視界は左へ。窓に入った横格子は、右の壁まで伸びていきます。
右手足もとには灯篭

一旦視界が抜けます


大きくはね出した軒を支える柱の脇から玄関へ

この玄関扉。いかにも白井晟一の設計した印象に残る玄関扉です。
ドアノブは、扉の真ん中に丸いノブが象徴的にひとつ付きます。
扉の枠は、天井まで伸びて、扉の上部は扉と同じ素材、同じ面の板がはめこまれます。扉を支える両側の枠の太さが良いです。

玄関から今来たアプローチを振り返りますとこんな感じ。
正面の壁は駐車場の棟

ここまでのアプローチは、いかにも日本建築の持つアプローチ
壁によるアイストップと視界の抜け。こころが落ち着く静かな空間。わずかな面積の空間ですが、人の気持ちが切り替わるとても大切なアプローチになっています。

さて、こちらは道路に沿って設けられたもう一つの入口である勝手口です。
左が建物に入る扉。ここに郵便受けがあります。郵便などは、こちらから受け取ることになります。そして右の扉は、塀に囲まれた中庭に抜ける扉

勝手口を入って、見返した写真です。

陰影を感じられる場の創造です。
| 建築・設計について | 07:17 | comments(0) | -
軽井沢 石の教会内村鑑三記念館 天然の中に神が存在する オーガニック建築
石の奥深さは、地球の一部だからだと思います。その石が使われるまでは何万年という間地面の中に眠り、人の手を介して我々の目の前にその美しさを見せてくれるのですから。石を建築に用いるということは、地球の一部を表現として使うということで、やはり石で囲まれた場所というのは、理屈無しで何となく心が落ち着くんですね。さて、軽井沢の内村鑑三記念堂ですが、教会のルートとは別に森を散策して、地下の記念館に入るルートから進んでみました。
石を積み重ねて床と壁を丸く繋げたこのアプローチ。なんだか川底を歩いている感じです。



緑の森を背景にしたガラスの標識

そして内部へと向かいます

内部は、内村鑑三氏の経歴やその教えがパネル展示されているほか、この建物の設計者ケンドリック・ケロッグのオーガニック建築に対する考え方がわかる展示もあります。



自然との調和やその建物が建つ地形の特徴をそのまま生かした建築。自然に逆らわず、自然に溶け込むような見地を目指しました。
屋内も自然そのものというケンドリック・ケロッグの言葉は、これから新しい建築を生み出す自分自身の心にも強く残りました。
| 建築・設計について | 09:15 | comments(0) | -
中軽井沢 石の教会内村鑑三記念堂 渦巻くコンクリートのアーチと石の壁
1988年竣工の軽井沢石の教会内村鑑三記念堂に立ち寄りました。その建物は知っていましたが、内部に入るのは初めて。コンクリートのアーチが太陽の軌道に合わせてずれながら連続していく建物で、このアーチとアーチの間にはめ込まれたガラスから内部に太陽の光が注がれるように設計されています。建築家はアメリカ人建築家のケンドリック・ケロッグ。
アーチを支えるような壁や床は全て地元の石
外部から内部へ、石の床と壁は続き、内と外がスムーズに繋がっていきます。

アプローチ

コンクリートの力強いアーチの中をくぐっていきます。

サッシの形状も有機的



内部は写真不可の為、パンフから

コンクリートと石のみを用いた大地から現れたような力のある建築でした。
こちらは、ホテルへ続く石の道

| 建築・設計について | 10:05 | comments(0) | -
ジーグルド・レヴェレンツ 聖トーマス教会 大きな目地と煉瓦タイルが同じ面になった美しい壁
さて、長々と綴ってきました北欧の建築視察レポートも今日で一旦終了します。旅の最後に見たのがこのジーグルド・レヴェレンツ設計の聖トーマス教会だったのですが、素材と形態の扱いや、動線にたいする配置など、非常に参考になる建築でした。気をてらった造形などなく、力強い彫刻的なデザインも良かったです。
この大きな外壁の煉瓦タイルの壁は、何と言いましても目地の大きさでしょう。しかも目地というかモルタルと煉瓦が同じ面で仕上がっているので、煉瓦の影はできず、大きな一つの壁として捉えることができます。建築家村野藤吾が教会や学校、ホテルでこの手法を使い設計しているので、日本でも今まで見ることができましたが、やはり細々してないのが好きですね。
大きな面でありながらも、煉瓦タイルという小さなスケールのもので構成されているので、圧迫感も感じません。





壁の一番上は、金属の水切で納めます。
壁から飛び出す樋が、平滑な壁にアクセントをもたらします。

大きな高く目立つ鐘塔はこの聖トーマス教会にはありません。鐘は、丸い曲面壁の後ろに隠されています。





決して派手さはありませんが、何年経っても人に感動と共感を与える素晴らしい建築でした。
| 建築・設計について | 09:05 | comments(0) | -
シーグルド・レヴェレンツ 聖トーマス教会 大きな窓、綺麗な樋、美しい煉瓦壁の織り成す魅力的な外観
聖トーマス教会の大きな開口部のある外観部分
綺麗な開口部、目地が大きな煉瓦タイルの壁、煙突ボリューム、そして屋根から跳ね出した樋。この面の構成は実に美しい。設計したシーグルド・レヴェレンツの並々ならぬ才能を感じます。

大きな窓と窓の間には急勾配の屋根からの雨を受けた樋が飛び出し、平な立面に立体的なアクセントをつけています。そのまたディテールが細く綺麗
窓もいくつかのパーツに分かれていて、小さな換気開口もこの窓の一部に組み込まれています。壁はあくまでも壁として自立させ、その壁にはなたれた開口部に外壁を貫通する設備の穴や換気窓等を組み込んでいます。そのため、煉瓦壁面には余計な穴がないのです。

開口部も中の機能に合わせて、出っ張っているものもあれば、煉瓦タイルの奥におさまるものもあります。

黒い出入り口扉も上下がパネルと開口部にわかれています。見事なプロポーション


L字平面で、正面は教会礼拝堂の大きな壁。窓のない煉瓦壁との対比も楽しめます。

大きな窓の下に付く水を外に流す水切は、金物をこのように曲げて造った彫刻的な造形

今回内部は改装中ということで入れませんでしたが、大きな開口部から中の礼拝堂をのぞき見することができました。
内部礼拝堂の壁も外部と同じ目地の大きな煉瓦タイル。床は黒い石。天井には扇形の木天井。トーマス教会の礼拝堂は圧倒的は大きな空間というよりは、静かな落ち着いた空間の中に、光が入るとても心が穏やかになる礼拝堂だと感じました。
| 建築・設計について | 07:29 | comments(0) | -
シーグルド・レヴェレンツ ストックホルム郊外の聖マークス教会 力強い煉瓦の建築
シーグルド・レヴェレンツは、スウェーデンの建築家で、グンナール・アスプルンドと共に、森の墓地のコンペに勝利。共同設計となるが、森の墓地の中の復活の礼拝堂以降途中で分かれ、アスプルンド亡き後森の墓地を完成させました。その他教会や墓地を手掛け、その残された建築は、今でも我々の目に強いインパクトを与えています。今回そのシーグルド・レヴェレンツ設計の聖マークス教会を訪れました。
ストックホルム中央駅からメトロで20分ばかり。駅を降りたらすぐその外壁は見えます。
芝生の上に建つ渋い煉瓦の外壁の塊


ドーム状の曲面壁にさりげなく取り付いた十字架

その脇を廻りこむように進みます。

視界は開け、建物と建物の間に滑り込むように入って行きます。

そして迎えるのは建物から離れて設けられたアーチの庇


力強い木の4本の柱で支えられています。そして、この竪樋のディテールが、素晴らしい



煉瓦は目地が大きくとられ、目地と煉瓦が同一面の仕上げ。職人の手の痕跡が残る壁の存在感が胸に迫ります。
そして、分節された木の庇も優雅さと自由な形態を煉瓦壁に対比させたようにデザインされています。
煉瓦の素朴さと重厚感。木庇のもつ存在感。素材の持つ特質を非常にうまく捉えていて、感動
アーチ状にくり抜かれた開口部には、木製サッシが納まります。


| 建築・設計について | 17:55 | comments(0) | -
ストックホルム ヴァーサ号博物館 処女航海で沈没した巨大戦艦の物語
この戦艦は、17世紀のヴァーサ王朝時代、時の王様グスタフ・アドルフ2世が作らせました。当時のスウェーデンは、最強の国。ドイツ30年戦争に参加するため、世界最強の軍艦ということで作られたそうです。しかしながら、処女航海で、港から出港したわずか数分の間に強い風にあおられ、あっという間にストックホルムの湾の中にその巨体は沈んでいきました。沈んだ理由として今考えられているのは、通常の倍の大砲を積んだこと。さらに、船尾に豪華な装飾を付けたことによる船体のアンバランスの為だと言われています。この船はそれから300年海底で眠り続け、300年の歳月を経て、一人の少年により発見され、そのまま引き上げられました。木の損傷を防ぐべく、塗装を施されて現代に至るそうです。
まずは、この巨体に驚きます。



沈んでから、引き上げられるまで、模型で解りやすく説明があります。


断面模型
船底には石を入れて、上下のバランスをとりましたが、それでもこの戦艦は、上が重かったのです。2段の大砲も当時では最初の試み

縮尺模型が飾られていて、その色彩の豊かさにも驚かされます。
模型の後ろが本物




船尾につけた装飾もそうとうなもの。大砲やこの装飾も時の王様からの命令だったそうです。


色は、鉱石から顔料を取り出し、それと塗った技術

一つの船からいろいろな歴史を学ぶことができる楽しい博物館です。
| 建築・設計について | 06:33 | comments(0) | -
ストックホルムの観光名所 ヴァーサ号博物館 船のような外観
ストックホルムの観光名所にもなった博物館が、このヴァーサ号博物館です。17世紀の木造の戦艦をそのまま保存しているもの。と言いましても、一度海に沈み、300年の時を経て引き上げられ、そのままの形を保存、展示している世界でもここしかない博物館なんです。
外観は、マストが伸びる船をイメージしたもの。




エントランス


そして中には想像をはるかに超えた巨大な戦艦がその雄姿を見せてくれます。
| 建築・設計について | 06:55 | comments(0) | -
グンナール・アスプルンド スカンディア・シネマ 宇宙の中で映画を見る
非日常空間である映画館をどのようなインテリアでまとめるか?グンナール・アスプルンドは劇場の中を宇宙いや外にいて、星を眺めるような場所としてデザインしました。
映画が始まる前の数分間。客は席に座り、劇場内を見渡します。そこに外を持ってきたんですね。スカンディア・シネマの劇場内の天井は、濃い紺色。これは宇宙ですね。そこに沢山の丸い電球を吊るしました。これは星なんです。そして、音声は、天井に飛ぶ天使が奏でるホーンから聞こえます。

当時の写真には天井に沢山の丸い照明が浮かんでいますが、その後の改修でその照明は無くなっています。残念

天使は健在


スクリーンから後ろを見ますとこんな感じでした。

今は、このような感じ

特別席

そこは、もとのように復元されています。

映写室は、ほとんど当時のまま


今でも大切に使われる映画館 幸せな建築です。
| 建築・設計について | 06:02 | comments(0) | -
グンナール・アスプルンド スカンディアシネマ 個室観覧席のある映画館
最近は、着飾ってお出かけすると言えば、クラッシックコンサートか演劇、ミュージカル、歌舞伎、きちんとしたレストランという具合でしょうか。昔はそれこそお出かけと言えば身近ではデパートなんかもそうでした。娯楽の多様化と、多種多様な食文化の誕生で、なかなか日常の中の非日常の機会が少なくなったような気がしないでもありません。さて、このグンナール・アスプルンドが設計したスカンディア・シネマですが、映画館は社交場であった時代。1階は一般席ですが、2階はぐるりと個室が並びました。それぞれの個室にはちゃんとサービスが控え、従業員も50人はいたそうです。
まずは、2階へ昇る階段。天井に絵画。鏡の壁が貼られ、華麗さが演出されています。

2階に上がりますと、雰囲気は一変。赤い絨毯。ビロードの壁、そして、自分だけの玄関ドア


扉は、一つ一つ別のデザインがされていて、自分の場所が決まります。

こんな感じでサービスがうけられたようです。

中に入ります。
今は個々のブースはありません。



優雅がひと時を楽しめます


床は絨毯。美しい刺繍が随所に散りばめられています。
| 建築・設計について | 12:17 | comments(0) | -
グンナール・アスプルンド スカンディア・シネマ 社交場としての映画館
1923年ストックホルム中心街に完成したスカンディア・シネマ。設計はグンナール・アスプルンド
映画の絶頂期ですが、グンナール・アスプルンドは映画のもつ幻想的な華麗さと非日常性、そして社交場、祝祭の楽しい感じを表現しました。
今は歩行者天国としてストックホルム市内でも最も人の行き来が多い通りにこの映画館はあります。

何度かの改修がされましたが、それを当初の趣に戻そうと、再び改修されています。
当時の外観

そして今


中に入ります

クロークをはじめ大きなエントランスホールがまずお客様を出迎えます


ホールの中には座って談笑できるスペースも完備


正面カウンターの脇の階段を下って下階のホワイエへ。

この階段室は、モスグリーンの渋い空間で、映画を見るという雰囲気にさせてくれます。いきなりモードが変わる装置

壁の両側には丸い鏡が配置。鏡に鏡がうつる効果で、非日常を表現

見返しです。このトンネルは、非日常への入口なんです。

平面図

モスグリーンの空間に白い壁と彫刻が施されたホール側の壁

反対側は、モスグリーンの壁とそこに彫り込まれた歓談スペース

円形の歓談スペースは、親しみが湧くちょうどよい落ち着いたスペースです。

当時のイメージ

そして劇場に

| 建築・設計について | 09:16 | comments(0) | -
グンナール・アスプルンド 夏の家 湖に突き出した桟橋と、ゲストルーム
水と遊ぶ。これは万国共通ですが、桟橋を作ってボートを浮かべたり、釣りを楽しんだりと、ここにいたら時間が経つのを忘れて自然と戯れることができそうです。白い家族の為の夏の家、赤い伝統色のゲストハウス、そしてボート小屋がリズミカルに桟橋に向かって並びます。
桟橋の先からの見返し


ゲストハウス

その内部
小屋組みが見えるシンプルで、居心地の良いワンルームです。







このゲストルームには予約すれば泊まれるそうです。
でも、本当に気持ちの良い滞在時間となりました。


| 建築・設計について | 20:52 | comments(0) | -
グンナール・アスプルンド 夏の家 トイレは外の小屋で爽快に
アスプルンドの夏の家のトイレはどこに?
さすがは、グンナール・アスプルンドです。水洗が無い時代ですので、トイレは実は建物から離れて設置したんですね。今では、建物の地下にトイレは完備されていますが、この屋外トイレもまた、夏の家らしい。
本体の棟はこちら

ぐりりと反対を向きますと

話は逸れますが、この斜めの塀もグンナール・アスプルンドデザインだそうです。
その林の先に白いおにぎりの形をした小屋が見えます。ここがトイレ


中に入りますと、便器が2個並んでいます。

で、ここに座って扉を開けたまま外を見ますとこんな感じ

プライバシーは保てますし、爽快でしょう?
| 建築・設計について | 06:25 | comments(0) | -
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